【クリスタ】自動彩色で色の「はみ出し」を消す手順を解説!
クリスタにある「自動彩色」は大変に便利な機能ですが、細かい部分で色が線をはみ出してしまう欠点があります。とはいえ、自動彩色は色を一気に塗れる点で非常に有用です。今回はクリスタで自動彩色による色のはみ出しを消す方法をご紹介します。
目次
クリスタとは?
「CLIP STUDIO PAINT(クリスタ)」は、イラストのプロも愛用している高機能のペイントツールであり、イラストを投稿サイト「pixiv(ピクシブ)」で活躍するイラストレーターたちにも、最も支持されているという実績もあります。
イラスト/マンガ制作のソフトのこと
クリスタは、豊富な種類のブラシが用意されており、初期設定のままでも滑らかな線画イラストを書くことができるほど操作性も優れています。そして、イラストに加え、マンガやアニメーションの作成も行うことができ、絵に関するさまざまな機能を備えています。
そして、今回ご紹介する「自動彩色」の機能や範囲を指定して塗りたい箇所にのみ色をつけられる機能も、クリスタの性能の高さを物語る機能といえます。
【クリスタ】自動彩色機能の使い方
それでは、まず、クリスタの「自動彩色」機能の使い方を見てみたいと思います。この機能は、白地に黒い線で描かれた画像をユーザーが用意するだけで、クリスタに搭載されたAIが明暗を判定し、線で区切られた範囲まで、色をむらなく敷き詰めてくれます。
全自動彩色の使用手順
それでは、クリスタでの「全自動彩色」の使い方を見てみましょう。全自動彩色は、クリスタに搭載されたAIが勝手に色を塗ってくれる便利な機能ですが、ユーザー側で色を設定できず、こちらの思い通りの彩色にならないところが、欠点といえます。
以下の線画イラストを例に全自動彩色を使うとどのように配色が設定されるか見てみます。
まずは、「ファイル」から「新規」をクリックし、「作品の用途」を「イラスト」で選択し、「OK」をクリックします。
次に、また「ファイル」から「読み込み」→「画像」をクリックします。
それから、線画イラストとして使用する画像を選択します。
そして、線画イラストが読み込まれたら、レイヤーパレットに新しくレイヤーが追加されます。
また、読み込まれた線画イラストのレイヤーを選択します。
最後に、「編集」から「自動彩色(選考プレビュー)」→「全自動彩色」をクリックして、彩色を実行します。
クリスタの全自動彩色では、以下のように色が自動で決定され塗られていきます。この機能は、思いどおりの配色にならないため、後に手動での修正が必要になります。
全自動彩色が行われる際に、線画イラストを「ベクターレイヤー」に変換しなくても、線画イラストの線を明確に判定し、手軽な操作で色を綺麗に塗れるため、キャラクターの色イメージが湧かないときに参考にすることもできるでしょう。
ヒント画像を使って彩色の使用手順
続いて、「ヒント画像」を作成して配色の基準にしながら、クリスタで自動彩色する方法を見てみます。この方法は、全自動彩色と比較して、クリスタのユーザー自身で色を決めることができる点が、有用といえますが、その分の手軽さが少し失われています。
線画イラストを用意
まず、自動彩色機能のヒント画像を使って彩色するにあたって、以下の線画イラストを用意します。
「ファイル」から「新規」をクリックし、新しいウィンドウが現れたら「作品の用途」は「イラスト」を選択し、「OK」をクリックします。
次に、「ファイル」から「読み込み」→「画像」の順番で操作します。
それから、読み込みたい線画イラストを選択し、ファイルを開きます。
また、線画イラストが読み込まれると、同時にレイヤーパレット内に新しく線画用のレイヤーが作成されます。
そして、色塗り用のレイヤーを作成します。レイヤーは、「ラスターレイヤー」で作成するようにしてください。これで線画イラストの準備は完了です。
塗りを指定したレイヤーを作成する
続いて、色塗り用のレイヤーを作成します。ヒント画像で自動の色塗りを実行するために、どのような色で線画に彩色するのかを決めるために必要になってくるのが色塗り用のレイヤーです。
色塗り用のレイヤーを作成するにあたり、線画用のレイヤーの位置よりも上か下のどちらでも構いません。とにかく、レイヤーパレット内に色塗り用としてレイヤーを設定します。
線画レイヤーを参照レイヤーに設定する
色塗り用のレイヤーを作成できたら、次は、線画レイヤーを参照レイヤーに設定する作業を行います。レイヤーを参照レイヤーに設定する方法は、簡単でレイヤーパレット上で好きなレイヤーを選択し、「参照レイヤーに設定」ボタンを押すだけです。
その前に、線画レイヤーの、レイヤーの種類を変換します。クリスタでは、読み込まれた画像は、「画像素材レイヤー」という種類のため、「ラスターレイヤー」に変換します。線画レイヤー上で右クリックします。
すると、メニューが現れるため、その中の「レイヤーの変換」をクリックします。
レイヤーの変換をクリックすると、以下のようなウィンドウが出現するため、「種類」を「ラスターレイヤー」に選択し、「OK」をクリックします。すると、レイヤーの種類が、「画像素材レイヤー」から「ラスターレイヤー」に変換されます。
次に、線画レイヤーの背景色を白色から透明色に変換します。レイヤーパレット上の線画レイヤーを選択し、「編集」から「輝度を透明度に変換」を実行することで、線画レイヤーの背景色が透明に変換されます。
それから、色用のレイヤーを選択し、線画に色を塗っていきます。色は任意で、線画イラストにそって所定の色を大雑把に塗っていきます。とはいえ、大雑把に塗るといっても色が線をはみ出して背景に接しないように注意しましょう。
そして、線画レイヤーを参照レイヤーに設定します。レイヤーパレット上の線画レイヤーを選択し、「参照レイヤーに設定」をクリックします。
色を塗る際は、必ず線画に対して「参照レイヤーに設定」を実行することで、線画に描かれた線を基準に色を塗ることができます。
自動彩色の実行
最後に、ヒント画像を使って自動彩色で塗っていく作業に移ります。レイヤーパレット上の色塗り用レイヤーを選択し、「編集」から「自動彩色」→「ヒント画像を使って彩色」をクリックします。
すると、色塗り用レイヤーで塗った色にそった彩色が自動で実行されます。
ただし、ヒント画像を使った自動彩色は、やや色がはみ出してしまう難点を抱えています。背景色に対して薄っすらと線を境に色がはみ出してしまいます。
「全自動彩色」と比較して、「ヒント画像を使って彩色」は、クリスタのユーザー自身で色を決められる点がメリットといえますが、選んだ色の濃淡に変更が加えられてしまう点と、後から背景にはみ出した色を消す修正作業が必要な点で、完全とはいえません。
高度な彩色の使用手順
ここでは、クリスタの自動彩色機能における「より高度な設定を使用」を見てみたいと思います。この機能は、先に紹介した自動彩色の機能と比較して、ある程度ではありますが、色を修正することができます。
線画イラストを用意
まず、自動彩色機能の「より高度な設定を使用」を使う際に、以下の線画イラストの準備を行います。線画イラストは、そのままでは「画像素材レイヤー」という種類のため「ラスターレイヤー」に変換します。
「ファイル」から「読み込み」→「画像」をクリックし、線画イラストを読み込みます。その後、レイヤーパレットの線画レイヤー上で右クリックします。
線画レイヤーを右クリック後、「レイヤーの変換」をクリックします。
設定のウィンドウが出現したら、「種類」を「ラスターレイヤー」を選択し、「OK」をクリックします。
「編集」から「輝度を透明度に変換」を実行して、線画レイヤーの背景色を透明に変更します。
これで、自動彩色の「より高度な設定を使用」に使う線画イラストの準備は完了です。
塗りを指定したレイヤーを作成する
ここでも、自動彩色機能の「ヒント画像を使って彩色の使用手順」で行った作業と同じく、色塗り用のレイヤーを作成していきます。
色塗り用のレイヤーを選択し、色を塗っていきます。
色の塗り方は、自動彩色機能の「ヒント画像を使って彩色の使用手順」と同じく、大雑把に塗ってしまって構いません。大雑把といっても、色が線をはみ出して背景に接しないように注意しましょう。
線画レイヤーを参照レイヤーに設定する
線画レイヤーに対して「参照レイヤーに設定」を実行します。この機能によって、他のレイヤーで塗られた色塗りの基準として、線画レイヤーが参照されるようになります。
色を塗る際は、必ず線画に対して「参照レイヤーに設定」を実行することで、間違いなく綺麗に色が目的の配色で行えます。
自動彩色の実行
「より高度な設定を使用」による自動彩色を行います。「編集」から「自動彩色(先行プレビュー)」→「より高度な設定を使用」をクリックします。
すると、自動彩色機能の「ヒント画像を使って彩色」と同じく、大雑把に塗った画像レイヤーを基に色が自動的に塗られていきます。
詳細設定で色を分解して彩色
クリスタにおける自動彩色の「より高度な設定を使用」では、色の濃淡をグラフによって修正することができます。「色を分解して彩色する」にチェックを入れるとウィンドウの内容が切り替わり、グラフが出現します。
クリスタでは、彩色の様子をグラフで修正しながら、色の変化をリアルタイムで内容を確認できます。
細かい調節で目的の色に近づける
これで、自動彩色は完了です。「より高度な設定を使用」は、「ヒント画像を使って彩色」と比較して、色を修正することができることで、より目的の配色に近づけることができる点が優れています。
とはいえ、塗った色に近い変更しかできないため、色塗りの参考にする程度です。
【クリスタ】自動彩色で色の「はみ出し」を消す方法
クリスタの自動彩色機能の問題点は、AIが配色を判定している以上、どうしても色がはみ出してしまいます。そのため、色のはみ出しを回避して自動彩色を実行できれば、欠点を1つ解消することになります。
そこで、背景に色がはみ出しをしないようにする方法を見てみましょう。
「はみ出し」を消す/修正する手順
クリスタで、色のはみ出しを解消する方法の1つに「範囲指定」を使うものがあります。範囲指定は、画像に描かれた線にそって範囲を区切ることができるため、範囲外の領域に色が漏れ出さずに済みます。
それでは、線画イラストの線を背景と区切る方法を見てみましょう。
線画レイヤーの範囲指定を変更
まず、以下の線画イラストに対して本作業までの準備を行います。自動彩色機能を使う場合に、色のはみ出しを避けるための方法になります。
線がイラストに対して、「参照レイヤーに設定」を実行します。
次に、参照レイヤーに設定したら、「自動選択」ツールから、「編集レイヤーのみ参照選択」というサブツールを選択します。
それから、線画レイヤーを選択し、キャンバスをクリックします。
キャンバスをクリックすると、線画にそって点線が出現し、背景と線画の範囲が区切られます。そうしたら、「選択範囲」の「選択範囲の反転」をクリックして線画の領域のみ選択されたかたちにします。
ここまでで、色塗りの前段階は完了です。
自動彩色を再度実行
ここでは、線画に好きな色で彩色したいため、「ヒント画像を使って彩色」の自動彩色を実行します。まず、色塗り用レイヤーを選択し、色を大雑把に塗っていきます。
次に、線画レイヤーを参照レイヤーに設定します。
それから、色塗り用のレイヤーを選択し、「編集」から「自動彩色(先行プレビュー)」→「ヒント画像を使って彩色」をクリックします。
すると、色塗り用レイヤーに描かれた配色を基に、自動で色が塗られます。
範囲選択で色塗りの適用範囲を区切っているため、色のはみ出した部分を消した状態で彩色されます。
これで、自動彩色で、はみ出さずに色塗りを行うことができます。この方法で色塗りの範囲を限定すれば、特に色塗り後にはみ出しを消さなくても済みます。
【クリスタ】自動彩色で色の「はみ出し」をしない方法
クリスタの自動彩色で、はみ出しをせずに色を塗る方法として範囲選択する方法を先述しましたが、他の方法についてご紹介します。この方法は、レイヤーを使った範囲指定といえ、範囲外に塗られた色を消すことができます。
はみ出さない色塗りの手順
色のはみ出しを回避する方法としてレイヤーを使ったものがあります。ここではそれについて見てみましょう。
同じレイヤーに塗り重ねる場合
同じレイヤーに色を塗り重ねる方法の場合、「透明ピクセルをロック」機能を使います。透明な部分とは、色が塗られていない部分のことです。
つまり、髪が既に塗られていて、そこに影をつけたい場合は、既に色が塗られた部分にのみ後から影をつけることができる、という意味です。
これで同じレイヤーに塗り重ねる場合は以上です。
別のレイヤーを重ねて色を塗る場合
次に、別のレイヤーを重ねて色を塗る場合について見てみます。この場合、既に色が塗られたレイヤー(緑)の上に、影をつけたいレイヤー(赤)を追加し、「下のレイヤーでクリッピング」をクリックします。
クリッピングを行うと、対象の箇所に塗られた色を消すことができます。
こうすると、大雑把に色を塗ってもはみ出しをせずに済みます。
まとめ
今回は、クリスタの自動彩色機能についてご紹介しました。自動彩色は、便利で高性能な機能ですが、手動で塗った方が思いどおりの彩色ができるのが現状です。とはいえ、色のはみ出しを回避する方法は、色を手動で塗る場合にも役に立ちます。