TecoGANの使い方!低解像度の画像を高解像度にする方法とは?
TecoGANは低解像度の動画を高解像度に変換することができるモデルで、画質の悪い動画の高解像度化やモザイク破壊などに利用できます。この記事では、TecoGANの使い方を環境整備から実際に高解像度化する方法まで詳しくみていきましょう。

目次
- 1TecoGANとは?
- ・低解像度の動画を高解像度に変換するモデル
- ・高解像度化の仕組みとは?
- 2TecoGANを使ってできること
- ・昔の動画の高解像度化
- ・画質の悪い動画をきれいに見えるようにする
- ・画質を変えずにズームすることができる
- 3TecoGANの使い方
- ・CUDAのダウンロード
- ・Python環境の構築
- ・TecoGANのダウンロード
- ・モデルのダウンロード
- ・超解像を実行してみよう!
- 4TecoGANについてのQ&A
- ・画像の高解像度化はできますか?
- ・TecoGANは元動画の画質はどの程度まで対応できますか?
- ・TecoGANはいくらで利用できますか?
- ・TecoGANをもっと簡単に利用できる方法はありませんか?
- 5TecoGANについて最新まとめ
TecoGANとは?
近年、AI技術が急速に発展してきたことで、動画編集にもAIを活用できるようになりました。動画編集でのAI利用では、生成AIでプロンプトから動画を作成する他に、AIを活用した画質の向上やモザイク破壊なども注目されています。
動画を高画質化するための技術として欠かすことができないのがTecoGANです。この記事では、TecoGANとはどのようなもので、どのような使い方をするのか、詳しく解説します。まずは、TecoGANとはどのようなものなのかみていきましょう。
低解像度の動画を高解像度に変換するモデル
TecoGANとは、動画の画質を高画質化するための超解像モデルです。GAN(敵対的生成ネットワーク)の仕組みを用いて、解像度の低い動画を解像度の高い動画に変換します。
GANは生成ネットワークと識別ネットワークから構成されていて、生成ネットワークで出力されたイメージを識別ネットワークが正否判定します。
TecoGANは、GANの仕組みに前後の画像を時系列で関連付けてなめらかな映像を出力して、動画でも解像度を上げることができるようにしたものです。
TecoGANでは情報の少ない低解像度の画像を、より情報の多い高解像度にする超解像に加えて、前後の画像に整合性を持たせて、映像として矛盾のないものを出力できる、非常に高度な技術が活用されています。
高解像度化の仕組みとは?
TecoGANで動画の解像度を上げる仕組みは、GANの仕組みにFrame-Recurrent Generator アーキテクチャーと、Discriminatorを組み合わせています。
GANで画像生成するときに、Frame-Recurrent Generator アーキテクチャーで過去に生成した画像を入力します。
また、Discriminatorで前後に生成した画像を結合することで、映像としての時系列の整合性を保てるようにして、なめらかな動画の高解像度化を実現しています。

TecoGANを使ってできること
TecoGANを使うとどのようなことができるのでしょうか。TecoGANの主な活用方法を解説します。
昔の動画の高解像度化
TecoGANを使うことで、昔の動画の画質を良くすることができます。
昔のテレビ番組やビデオで撮影された映像を現在のテレビやSNSで見ると、画質がとても悪くて、見づらいことがよくあります。
当時はテレビの画質も今ほど解像度が高くなかったので違和感なく視聴できました。
しかし、カメラもテレビやモニターも解像度が進化しているために、現在の高解像度のテレビやモニターでは、当時の解像度の低い映像の画質が粗くなりすぎて、ぼやけてしまうのです。
TecoGANを使って高解像度化することで、現在のモニターではきれいに映すことができない昔の映像も、ここ最近撮影したものと変わらないほど、きれいな映像として見ることができるようになります。
画質の悪い動画をきれいに見えるようにする
TecoGANを使うことで、画質の悪い動画を画質の良いきれいな動画にすることができます。
動画をダウンロードするときに、ファイル容量を節約するために低画質でダウンロードしてしまい、後で見ようとしたら画質が悪くてがっかりしてしまう、ということがあるでしょう。
TecoGANを使えば、低画質でダウンロードした動画も高画質化することができるために、きれいな映像で動画を楽しむことができるようになります。
画質を変えずにズームすることができる
動画編集をしていると、動画の一部分を拡大した方が見栄えが良くなることがよくあります。しかし、通常のズームは画像を構成しているピクセルを大きく広げることしかできません。
画面の中でズームした部分は拡大することができますが、その部分の画質は粗くなってしまいます。
そこでTecoGANを使って、ズームした部分の高解像度化を行えば、画質を保ったままで、拡大したい部分をズームすることができるのです。
画質を変えることなく映像の一部分をズームできるようになり、動画を見ている人が違和感を感じない映像に仕上げることが可能になります。

TecoGANの使い方
TecoGANの使い方はどうしたらいいのでしょうか。実際にTecoGANで動画を高解像度化する使い方を解説します。
CUDAのダウンロード
TecoGANの使い方、まずはTecoGANを使えるようにするための環境設定を行っていきます。TecoGANの使い方では、最初にCUDAを設定します。CUDAはNVIDIAが開発した並列処理のプラットフォームです。
CPUの並列処理能力を最大限化することで、大規模なデータ処理を可能にします。
まずはCUDAのダウンロードページに入り、お使いの環境に合ったものをダウンロードします。
ダウンロードしたインストーラーを実行して、指示に従ってインストールしましょう。正しくインストールされたか確認する場合は、ターミナルもしくはコマンドプロンプトを開き、「nvcc --version」を実行します。
Python環境の構築
TecoGANの使い方、次にPython環境を構築します。TecoGANはプログラミング言語の一種であるPythonを使って実行されるので、Pythonを実行できる環境が必要です。
Pythonの公式サイトから、Python3.8以上のバージョンをインストールします。
その後、必要に応じてライブラリ仮想環境を構築します。
TecoGANのダウンロード
TecoGANの使い方、TecoGANをダウンロードしましょう。TecoGANは、GitHubからダウンロードできます。
「Download zip」をクリックするとダウンロードできます。ダウンロード後は解凍しておきましょう。
モデルのダウンロード
TecoGANの使い方、設定の最後はモデルのダウンロードです。TecoGANの公式ページにある学習済みモデルのダウンロードリンクから必要なファイルをダウンロードしましょう。
ダウンロード後は、先に解凍済みのTecoGANフォルダ内にある「model/」の中に移動しておきます。
以上で、TecoGANの使い方、環境設定が完了です。
超解像を実行してみよう!
TecoGANの使い方、最後に低解像度の映像を高解像度化する超解像をTecoGANで実行してみましょう。TecoGANフォルダ内にある「test/」フォルダに、超解像度化する低解像度の動画を配置します。
次に、こちらのコマンドを実行します。
「python runGan.py --input_dir test --output_dir results --mode inference」
「results/」フォルダ内に超解像された動画が出力されます。

TecoGANについてのQ&A
TecoGANについてよくある質問にお答えします。
画像の高解像度化はできますか?
TecoGANを画像の超解像でも使いたいという声も多いようです。TecoGANを動画だけでなく画像でも利用する方法はあるのでしょうか。
TecoGANでも画像の超解像はできないことはありませんが、動画専用の超解像モデルなので、画像での利用はおすすめできません。
画像の超解像を行いたい場合には、画像専用のツールを利用したほうがいいでしょう。画像専用の超解像ツールとしては、ESRGANやReal-ESRGANがおすすめです。
TecoGANは元動画の画質はどの程度まで対応できますか?
TecoGANはとても優秀なモデルですが、解像度が低すぎる動画を完全に綺麗にできるわけでもありません。元動画の画質は540px×864pxくらいが限界ではないかといわれています。
これよりも画質が悪い動画では、元の動画とは違う形で出力されてしまう画像崩れが起きる可能性があります。
とはいえ、モザイクを完全に外したり、古い映像を現在のモニターできれいに映したりすることには十分に対応可能です。
ただし、モザイクではなく塗りつぶしやすりガラスが掛けられているものは再現できないので注意しましょう。
TecoGANはいくらで利用できますか?
TecoGANの利用に料金はかかりません。TecoGANはオープンソースプロジェクトなので無料で利用することができます。
ただし、TecoGANでの動画の高解像度化にはPCにハイスペックなGPU環境が必要です。PCで環境構築しない場合には、Pythonなどを実行できるクラウドサービスの利用が必要となります。
TecoGANを満足できるレベルで実行させるためのハイスペックなGPUは高額なので、環境構築のための資金が必要でしょう。また、Google Colab Proなどのクラウドサービスは無料版では満足できる動作が期待できないため、有料版の利用がおすすめです。
TecoGAN自体は完全無料で利用可能ですが、実際に高解像度化を実行するための環境づくりには投資が必要です。
TecoGANをもっと簡単に利用できる方法はありませんか?
TecoGANを利用するためには、事前の環境構築やプログラミング言語であるPythonでの実行など、高度なスキルが必要です。しかし、一般的なPCのスキルしか持っていない人も多く、TecoGANを利用してみたいと思っても、ハードルが高いと感じてしまう方も多いことでしょう。
自力でTecoGANを利用できる環境構築が難しい場合には、TecoGAN以外のAI高解像度化ツールを使ってみることをおすすめします。
TecoGANとは違った方法を使っているものもありますが、動画や画像をAIを活用して高解像度化できるツールがいろいろとリリースされています。
例えば、「VideoProc Converter AI」や「HitPaw AI Video Enhancer」なら、高度なITスキルを持たない初心者でも簡単にAIを使った動画の高解像度化が可能です。
有料ツールが多いのですが、無料体験できたり、一部機能を永久無料で利用可能なものもあるので、いろいろと探して試してみることをおすすめします。

TecoGANについて最新まとめ
少し前までは、動画編集といえばできるだけ少ないファイル容量で高画質なものを作ることができるのか、という点が動画制作者の腕の見せどころでした。しかし、TecoGANが登場してからは、多少、低画質な動画でも簡単に高画質化できるようになったのです。
とはいえ、TecoGANを利用するためには、事前の高度な環境構築などが必要なので、まだちょっとハードルが高いかな、という人も多いかもしれません。そういった方は、もっと使いやすいツールを探してみることがおすすめです。