【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方をくわしく解説!
イラストやマンガ制作における背景を描く際に使用することができるクリスタのパース定規をご紹介します。クリスタのパース定規の透視図法を使った基本的な背景の描き方や加工のポイントを押さえておけば、クオリティの高い作品を制作することができます。
目次
- 1クリスタとは?
- ・イラスト/マンガの制作に使う高性能ツール
- 2【クリスタ】背景を描くときの基礎用語
- ・透視図法とは?
- ・パース定規とは?
- 3【クリスタ】背景の基本~パース定規の使い方~
- ・パース定規の使い方
- ・グリッドとは?
- 4【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~1点透視図~
- ・1点透視図の描き方の手順
- ・1点透視でキャラに合わせて入れる場合
- 5【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~2点透視図~
- ・2点透視図の描き方の手順
- 6【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~3点透視図~
- ・3点透視図の描き方の手順
- ・3点透視のサイズ感やスケールの合わせ方
- ・3点透視のアイレベルの正解とは
- 7【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~透視図法の応用~
- ・描き方の手順
- 8【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~実践~
- ・描き方の手順
- 9【クリスタ】背景を画像から加工する方法
- ・背景の加工手順
- ・写真から作った背景にキャラを合成する
- ・背景加工の補足
- ・合わせて読みたい!ペイントに関する記事一覧!
クリスタとは?
クリスタとは、売上げ・利用率共に業界No.1を誇る代表的なペイントツールです。世界でも有名なブランドからも厚い信頼を得ており、多くの教育機関の教材としても使用されています。
イラストやマンガの制作に携わろうとしている初心者から、実際にプロとして活躍しているクリエイターまで幅広い分野で活用されています。
イラスト/マンガの制作に使う高性能ツール
とりわけ、クリスタはイラスト/マンガの制作に使える高性能ツールとして愛用されています。アナログな手法でイラストやマンガを制作していた時に比べて、このデジタルツールを使用すると、時間や手間が大幅に省けます。
便利な機能が豊富に搭載されていますので、使えば使うほどに自分のイラストやマンガの作風に合わせた機能を使用することができて、クオリティの高い作品を仕上げるのに役立ちます。
搭載されている機能の中でも、パース定規を使った基本的な背景の描き方もそれほど難しくなく、何度か使用するうちにマスターすることができるようになります。この機能を利用して、広角や望遠などの構図の背景も上手に描くことができます。
【クリスタ】背景を描くときの基礎用語
この記事では、クリスタの便利な機能のうち、パース定規を使った基本的な背景の描き方についてご説明します。初めに、基本的な事として、背景の構図を描く際に知っておくべき基本用語について解説します。
主な基本用語として「アイレベル」「消失点」「1点透視図法」「2点透視図法」「3点透視図法」があります。「アイレベル」とは、構図を見ている人の目線やを指します。「消失点」とは簡単に言えば手前から奥に伸びて2つの線が交わる点の事です。
この消失点の数により、「1点透視図法」「2点透視図法」「3点透視図法」というように透視図法の種類が異なり、背景の構図も変わってきますので、自分の描きたい構図を決める上で重要なポイントとなります。
また、自分が描きたい背景の構図を大まかに描く下絵のことを「アタリ」とか「ラフ」という言い方をします。他には、見ている人の目線を基準にして見下ろした背景を指す「俯瞰(ふかん)」、見上げた背景を指す「あおり」という言葉も使用します。
そして、背景を加工する際に気を付けるべき「広角」と「望遠」という基本用語もあります。
「広角」とは、近くから見る構図です。反対に「望遠」とは、遠くから見る構図を指します。
「広角」と「望遠」のどちらのタイプの構図で背景を描くかによって、見る人の印象がかなり変わってきますので、「広角」と「望遠」という言葉も覚えておきたい用語です。
クリスタでは、パース定規を使って背景を描く場合、画面左側に縦に並んでいるメニューアイコンとその横に表示されるツールプロパティを主に使用します。
透視図法とは?
透視図法とは、背景の絵を描く際に「広角」や「望遠」といった基本用語で表される遠近感を表現するための手法の一つです。キャラを入れる事もできる便利な背景の加工法です。
構図を違和感なく描くために使う手法
透視図法という手法を使用する事によって、3次元の物体を2次元である平面上で背景の構図をリアルに違和感なく描くことができます。透視図法は、一般的に「1点透視図法」「2点透視図法」「3点透視図法」の3種類に分けられます。
パース定規とは?
パース定規とは、透視図ともいわれるパースに沿った直線をペンなどの描画ツールを使ったフリーハンドで描くことができるデジタルツールの事です。
透視図法を描くときに使う定規
パース定規は、透視図法を描くときに非常に便利な定規です。このパース定規を使用する事により、1点透視図法から3点透視図法までの透視図を、描画ツールを使ったフリーハンドで簡単に描くことができます。
【クリスタ】背景の基本~パース定規の使い方~
透視図ともいわれるパースは、背景の描き方の基本であり、特に屋内や建物の絵を描くときに必要ですが、パース線を引いた時に線の角度を合わせるのは面倒です。そんな時にクリスタのパース定規を使用する事で、手早く背景のパースを仕上げることができます。
パース定規の使い方
クリスタを起動させ、はじめにキャンバスに背景の土台となる「ラフ」とも呼ばれる「アタリ」を描いておきます。後からパース定規を設置するための図ですので大まかでOKです。構図とパースラインを意識して描いておけば、細部まで描かなくても大丈夫です。
「アタリ」を描いたら、画面左側に縦に並んでいるアイコンの中から「定規」アイコンを探し、クリックします。「定規」アイコンをクリックしたら、定規に関するツールプロパティが表示されますので、その中の「パース定規」をクリックします。
「パース定規」をクリックすると、下にパース定規のツールプロパティが表示されます。
下に表示されているパース定規のサブツールプロパティで「透視図法を変更」と「編集レイヤーに作成」の両方にチェックを入れます。
2つの項目にチェックを入れたら、キャンバスの「アタリ」のパースラインに沿ってマウスをクリックすることによって「消失点ガイド」を設置します。消失点ガイドは、2本のパースの交差した点が自動的に消失点になるという便利な機能です。
パース定規の便利機能
パース定規を作成すると、クリスタ画面右側にあるレイヤーに関する項目にもパース定規が自動で追加されます。
このアイコンをクリックすると、パース定規の設定を色々変更することができます。また、パース定規のツールプロパティで「透視図法を変更」にチェックを入れておけば、自動で目線の高さである「アイレベル」も自動で表示されるので便利です。
また、オブジェクトでパース定規を選択すると、ツールプロパティに「グリッド」が表示され、それも使用することができます。
グリッドとは?
パース定規を選択時にツールプロパティに表示される「グリッド」とは、キャンバスに方眼紙のような線を表示することができる機能の事です。上部タブのすぐ下にあるツールプロパティの右側にある「グリッドにスナップ」アイコンをクリックします。
その後、クリスタ画面左側にある縦に並んでいるメニューアイコンの中の「操作」アイコンをクリックします。
どこでもいいのでキャンバス上に引いたパース線をクリックします。すると、左側のツールプロパティの内容が変更されます。
ツールプロパティの中の「グリッド」の部分にあるアイコンをクリックすることにより「XY平面」「YZ平面」「XZ平面」とグリッドを表示させることができます。
ツールプロパティのグリッドの左横にある「+」ボタンをクリックすると、「グリッドサイズ」を変更することができます。ここでスライドするか、数字を変更することにより、方眼紙のようなグリッドのマス目の間隔を調整することができます。
キャンバス上に表示された〇印にマウスを合わせると、自由にパース線を移動させることができます。グリッド線に沿ってゆっくりと描いていくとまっすぐに線が引けます。
逆に、グリッドのマスが細かったり、勢いよく線を引くとカクカクな線になってしまいます。何度も試しているうちに上手に線を引くことができるようになります。
グリッドにスナップしない場合
時折ですが、ファイルを開きなおした場合にグリッドにスナップできないという事が見受けられます。その場合は、クリスタ画面上部の「表示」タブをクリックします。
「表示」タブをクリックして一覧が表示されたら下までスクロールして「グリッドにスナップ」にチェックが入っているかを確認します。
もし「グリッドにスナップ」にチェックが入っていなければチェックを入れます。すると、グリッドを使用することができるようになります。
【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~1点透視図~
背景の描き方のひとつである「1点透視図法」とは、物を真正面から見た構図の背景を描くときによく使用されます。消失点は1つしかありません。1点透視図法では、線が収束する点である消失点が1つであることが特徴です。
その背景を見ている人の目またはカメラの位置を示すアイレベルの上に消失点が位置します。
1点透視図の描き方の手順
クリスタを起動させて上部にある「新規」アイコンをクリックします。
「新規」アイコンをクリックすると、「新規」に関する設定のダイアログボックスのポップアップ画面が表示されます。その設定画面の中で、用紙の色などを確認して「OK」をクリックすると、新しいキャンバスが作成されます。
まず最初に背景を描くときには、ベクターレイヤーを選択することをおすすめします。ベクターレイヤーでは、線が交わった部分を綺麗に消してくれるベクターレイヤー専用の消しゴムがあるからです。
大まかにアタリを描いたら、そのアタリに合わせてマウスをクリックして消失点ガイドを引きます。その時、消失点が1点になるようにするのが、1点透視図法の描き方です。その後、線画がはみ出しているところを消しゴムツールを使用して消します。
1点透視でキャラに合わせて入れる場合
背景にキャラを入れたいと思っている場合は、パース定規の作成はクリスタ画面上部の「レイヤー」タブをクリックして作成する方法を取ります。「定規・コマ枠」をクリックした後「パース定規の作成」をクリックします。
ポップアップで表示された画面で「1点透視」を選択し「OK」をクリックします。その後、キャラを注視したいところまでアイレベルをもっていきます。それから、グリッドなどを利用して背景を描いていきます。
【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~2点透視図~
2点透視図法とは、物を斜めから見た構図の背景によく使用される描き方です。1点透視では、手前から奥に伸びる奥行き方向の線が1点に収束するのに対し、2点透視では、奥行き方向と幅の2つの方向の線がそれぞれ2点の消失点に収束します。
この際の消失点も、1点透視図法の時と同じく、アイレベルの上に位置します。
2点透視図の描き方の手順
いつものようにクリスタを起動させてキャンバスを表示します。2点透視図法で描きたい背景のアタリをキャンバスに描いたら、パース定規の設定をします。そして、背景のアタリに合わせて消失点ガイドを引きます。消失点を2つ作成します。
消失点を2つに収束したら、線がはみ出しているところを消します。縦に並んでいる画面左のメニューアイコンの中の「消しゴム」をクリックします。
ベクター用消しゴムを使用します。使用できるときは、下の方に「ベクター消去」アイコンが表示されますので、その「+」アイコンなどをクリックすると「交点消去」機能で一瞬ではみ出した線を消すことができます。
また、背景の「アタリ」を描くときのレイヤーは「下書き」レイヤーに設定しておくと、仕上げの際にアタリや下書きを表示したまま作業ができ、元の画像を確認しながら加工することができるので便利です。
パース定規を使用する際に「透視図法を変更」にチェックを入れていれば、消失点を結んだ「アイレベル」が自動で表示されます。キャンバス上のパース線のどれかをクリックすると表示されるツールプロパティの中にアイレベルに関する設定があります。
ここで「アイレベルを水平にする」にチェックを入れるとアイレベルが水平になります。アイレベルが決まったら、消失点を調整します。アイレベルの位置を動かしたくなければ「アイレベルを固定」にチェックを入れると、アイレベルが傾くことはありません。
もし、パース定規に関するツールプロパティの中で「透視図法を変更」のチェックを外しておけば、2点透視図法のまま消失点を追加することができます。要らない消失点を削除することもできます。最終的に2点の消失点に収束させます。
【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~3点透視図~
3点透視図法は、大きな物体を見上げるような「あおり」と呼ばれる構図の背景、または高い所から見下げる「俯瞰(ふかん)」と呼ばれる構図の背景を描くときによく使用される描き方です。奥行きと幅と高さの3点の消失点に収束されます。
背景が「あおり」か「ふかん」かの違いにより、消失点とアイレベルの位置が上になるか、下になるかに変わります。
3点透視図の描き方の手順
クリスタを起動させたら、上部にある「レイヤー」タブをクリックします。表示された一覧の中の「定規・コマ枠」をクリックします。
横に表示された一覧の中の「パース定規の作成」を選択し、クリックします。
「パース定規の作成」に関する設定のポップアップ画面の中の「3点透視」を選択し、クリックします。すると、奥行きと幅に加えて高さのパース線が追加されて消失点が3つになります。このパース線を動かして、自分の描きたい背景に仕上げることができます。
3点透視図法の基本の背景の描き方は、見上げる形の「あおり」か見下ろす形の「ふかん」のどちらかになります。そして、高さの消失点やアイレベルは基本的にキャンバスの外に移動させます。
3点透視のサイズ感やスケールの合わせ方
3点透視の場合の背景のサイズ感やスケールの合わせ方は、基本的に2点透視と同じで、アイレベルから配置します。見下ろす背景か、見上げる背景かに合わせてアイレベルを決めます。
キャラを入れる場合の背景を描く場合は、キャラのサイズを先に決めてから描き始めた方が面倒ではないというクリエイターの方が多いようです。
3点透視のアイレベルの正解とは
背景のアイレベルの位置を決める場合に、正解の位置はあるのか悩むことがあるかもしれませんが、結論から言うと正解はありません。自分が見せたい背景の角度、見せたい背景の場面に合わせる事が一番です。
アイレベルの微妙な位置を変更するだけで、背景の雰囲気はぐっと変わりますので、自分の描きたい背景のテーマを決めてから描き始めるのが一番と言えます。
【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~透視図法の応用~
クリスタのパース定規の機能を使いこなして色々マスターしていくと、透視図法を応用して背景を描くことができるようになります。
描き方の手順
まずは、クリスタに搭載されている既存のパース定規の機能をひと通り使用してみることができます。消失点を追加したり削除したり、ガイドを追加したり削除したり、パース線を移動させたりするなどしてみます。
そして、自分の描きたい背景のイメージの下絵などを準備して、アタリをキャンバスに描きます。それから、パース定規をそのアタリに合わせていきます。
自分でパース定規を合わせる
クリスタ画面のキャンバスにアタリを描いたら、画面左横のメニューアイコンの中の「パース定規」を選択します。そして、アタリに合わせてマウスをクリックして、パース線を引いていきます。また、描きたいものに合わせて消失点やアイレベルを移動させます。
メニューアイコンの「操作」アイコンをクリックし「オブジェクト」ボタンをクリックすると、アイレベルやグリッドの設定をすることができます。
キャンバス上に描いたパース線やアイレベルの線にマウスを合わせて右クリックすると、ポップアップ画面が表示されます。その画面でもアイレベルを固定したり、水平にしたりすることができます。
1からパース定規を作る
クリスタを起動させて上部にある「レイヤー」をクリックします。そして表示された一覧の中の「定規・コマ枠」をクリックして、次の一覧の「パース定規を作成」をクリックします。
そして、表示されたポップアップ画面で透視図法の種類を選択したら、キャンバス上のパース線を移動させるなどして作成します。
同じパース定規の作成のポップアップ画面で「レイヤーを新規作成」にチェックを入れたら、新規ラスターレイヤーにパース定規が作成されます。チェックを外すと、現在選択しているレイヤーにパース定規が作成されます。
【クリスタ】パース定規を使った背景の描き方~実践~
クリスタでは、パース定規を使った背景の描き方の実践として、背景として描いた建物に窓を増やしたり、坂道や階段を背景に挿入したりすることができます。
描き方の手順
実際にマンガなどの背景に窓や坂道、階段を描く際の描き方の手順を、簡単にご説明します。
クリスタではトーンや背景などに使用することができるたくさんの素材がありますので、クリスタのアカウントにログインして素材を購入することができます。
様々な種類の素材を確認しながら、自分で実際に色々な方法を試してみて、自分の背景のテーマに合うクリスタの使い方を見つけてみることができます。
窓などを均等に増やす
クリスタのパース定規を使った描き方でビルなどの建物の背景を描いた後、窓などを均等に増やすこともできます。その場合は、クリスタにログインして「窓素材」を購入します。
そして、その窓素材をパースに合わせて貼り付けるだけで簡単に均等に背景の建物に窓を増やすことができます。背景の建物の輪郭に合わせてアタリを描いておくと、パースに合わせやすいようです。
坂道の描き方
まず最初に坂の下の基準になるアイレベルを決めます。そのアイレベル上に水平の地面の基準となる消失点の位置を決めます。基準となる消失点を利用して、手前に伸びるまっすぐな道を2本逆Vの字で描きます。次に、坂道の基準となる新たな消失点を取ります。
そのために、先ほどの消失点に上にのびた垂直な線を引きます。その垂直な直線上に坂の上の基準となる消失点を決めます。最初に描いた手前に伸びる逆Vの字線の中で坂の下の開始部分を決めて横に直線を引きます。
その横に引いた直線の両側から、2番目に決めた坂道の基準となる消失点を結びます。坂道の終点の高さまで線を伸ばし、そこで区切ったら坂道の完成です。
背景で坂道を描きたい場合の消失点は、平らな時の消失点を通る高さの線上にあります。上り坂なら上に、下り坂なら下に、急な坂ならアイレベルから離れるなどのポイントを抑えておくとパース定規を使って綺麗に描くことができます。
ガイドを1本作って消失点に交わるように置き、その用意したガイド上に消失点がくるようにパース定規を作成します。この時にツールプロパティの「透視図法の変更」のチェックを外しておかないと、アイレベルの位置が変わってきますので注意します。
背景の中で遠くに向かっていくのはどちらかを抑えておけば方向を間違えずに済みます。
階段の描き方
階段は坂道の描き方を応用します。アイレベルを引いてその上に消失点を置きます。消失点から垂直な線を引いたら、1段目の高さを決めます。一段目の高さの頂点と最初の消失点をつなげます。そして、最初の消失点と2番目の消失点が交差する点をつなげます。
次に1段目の頂点と2番目の消失点をつなげて補助線を描きます。1段目の両端と補助線を垂直で結び、2段目の頂点と最初の消失点を結ぶと2段目が完成します。この手順を繰り返します。
【クリスタ】背景を画像から加工する方法
クリスタでは、手書きで背景のアタリを描く方法に加えて、写真の画像から線画を抽出してその画像をアタリ(下絵)として使用することにより、背景を画像から加工することもできます。
背景の加工手順
クリスタ画面上部の「ファイル」タブをクリックします。そして、表示された一覧の中の「読み込み」をクリックします。
次に表示された一覧の「画像」をクリックします。パソコンに保存されているファイルにアクセスしますので、その中から背景に使用したい画像を選択します。
すると、画像がクリスタに読み込まれてキャンバスに表示されます。その後、クリスタ画面右側のレイヤープロパティの中の青い「ライン抽出」アイコンをクリックします。
「ライン抽出」アイコンをクリックすることにより、読み込んでいた画像の線画が抽出されます。
読み込んだ写真の画像の線画が抽出された画面が表示されたら、画面上部にある「レイヤー」タブをクリックします。一覧が表示されますので、その中の「レイヤーのLT変換」をクリックします。すると、レイヤーがLT変換されて、加工編集することができます。
あとは手書きでアタリを描いた時と同じ手順で、画面左側の「パース定規」アイコンをクリックします。そして、ツールプロパティで「透視図法を変更」と「編集レイヤーに作成」の設定をして、線画を抽出した画像の上から消失点やガイド線を引いていきます。
消失点やガイド線を引いた後、描きなおしをしたい場合はツールプロパティの処理内容を「消失点の削除」または「ガイドの削除」に切り替えた後、削除したい消失点やガイド線をマウスでクリックすれば、簡単に消すことができます。
写真から作った背景にキャラを合成する
写真の画像から背景を加工した後、その背景にキャラを合成したい場合は、まず、キャラの大きさを決めます。そして、アイレベルとキャラとの寸法を計算します。
大まかですが、キャラの頭ひとつ分くらいアイレベルより下に置くとなんとなく背景のバランスが取れます。あとは、自分の好みで細かく調整していきます。
キャラがいない場合
もし、背景に入れるキャラがいない場合は、アイレベルの調整として建物の扉など背景のバランスの指標になりそうなものを探して調整すると、感じのいい背景を描くことができます。
背景加工の補足
クリスタで背景を加工するにあたって、補足的に考えておいたら良い点が他にもあります。それは、広角と望遠です。広角と望遠について少し抑えておくだけでもクオリティの高い背景を描くことができます。
広角と望遠
広角とは、近くから見る絵や写真の画像の事です。望遠はその逆で、遠くから見る絵や写真の画像の事です。広角に加工した場合、消失点に近いほど魚眼レンズのように少し歪んで見えるという難点があります。初心者では広角は少し難しいようです。
反対に望遠での加工の場合、消失点から遠くなるので歪みは少なくなります。背景の加工が初心者レベルの方であれば、歪みが少ない望遠の方が綺麗な背景を描くことができます。
意図があれば別ですが、意図なく広角での背景の描き方ですとパースが乱れているように見えるので注意が必要です。望遠から手始めにマスターしてみることができます。
何度も、背景の加工を練習していくうちに、広角と望遠を上手に使い分けることができるようになります。
上手な背景とは?
誰でも上手に背景を描きたいと思いますが、押さえておきたいポイントは、背景の描き込む量の多さです。パースが完璧であっても、背景の描き込みが少ないと手を抜いているイメージです。
逆に、描き込みが多い背景は手が込んでいるイメージを与えますので、上手な背景と言われることが多いです。その点を踏まえておくと、評判も良いクオリティの高い背景を描くことができるようになります。