TecoGANは低解像度の動画を高解像度に変換することができるモデルで、画質の悪い動画の高解像度化やモザイク破壊などに利用できます。この記事では、TecoGANの使い方を環境整備から実際に高解像度化する方法まで詳しくみていきましょう。
近年、AI技術が急速に発展してきたことで、動画編集にもAIを活用できるようになりました。動画編集でのAI利用では、生成AIでプロンプトから動画を作成する他に、AIを活用した画質の向上やモザイク破壊なども注目されています。
動画を高画質化するための技術として欠かすことができないのがTecoGANです。この記事では、TecoGANとはどのようなもので、どのような使い方をするのか、詳しく解説します。まずは、TecoGANとはどのようなものなのかみていきましょう。
TecoGANとは、動画の画質を高画質化するための超解像モデルです。GAN(敵対的生成ネットワーク)の仕組みを用いて、解像度の低い動画を解像度の高い動画に変換します。
GANは生成ネットワークと識別ネットワークから構成されていて、生成ネットワークで出力されたイメージを識別ネットワークが正否判定します。
TecoGANは、GANの仕組みに前後の画像を時系列で関連付けてなめらかな映像を出力して、動画でも解像度を上げることができるようにしたものです。
TecoGANでは情報の少ない低解像度の画像を、より情報の多い高解像度にする超解像に加えて、前後の画像に整合性を持たせて、映像として矛盾のないものを出力できる、非常に高度な技術が活用されています。
TecoGANで動画の解像度を上げる仕組みは、GANの仕組みにFrame-Recurrent Generator アーキテクチャーと、Discriminatorを組み合わせています。
GANで画像生成するときに、Frame-Recurrent Generator アーキテクチャーで過去に生成した画像を入力します。
また、Discriminatorで前後に生成した画像を結合することで、映像としての時系列の整合性を保てるようにして、なめらかな動画の高解像度化を実現しています。
TecoGANを使うとどのようなことができるのでしょうか。TecoGANの主な活用方法を解説します。
TecoGANを使うことで、昔の動画の画質を良くすることができます。
昔のテレビ番組やビデオで撮影された映像を現在のテレビやSNSで見ると、画質がとても悪くて、見づらいことがよくあります。
当時はテレビの画質も今ほど解像度が高くなかったので違和感なく視聴できました。
しかし、カメラもテレビやモニターも解像度が進化しているために、現在の高解像度のテレビやモニターでは、当時の解像度の低い映像の画質が粗くなりすぎて、ぼやけてしまうのです。
TecoGANを使って高解像度化することで、現在のモニターではきれいに映すことができない昔の映像も、ここ最近撮影したものと変わらないほど、きれいな映像として見ることができるようになります。
TecoGANを使うことで、画質の悪い動画を画質の良いきれいな動画にすることができます。
動画をダウンロードするときに、ファイル容量を節約するために低画質でダウンロードしてしまい、後で見ようとしたら画質が悪くてがっかりしてしまう、ということがあるでしょう。
TecoGANを使えば、低画質でダウンロードした動画も高画質化することができるために、きれいな映像で動画を楽しむことができるようになります。
動画編集をしていると、動画の一部分を拡大した方が見栄えが良くなることがよくあります。しかし、通常のズームは画像を構成しているピクセルを大きく広げることしかできません。
画面の中でズームした部分は拡大することができますが、その部分の画質は粗くなってしまいます。
そこでTecoGANを使って、ズームした部分の高解像度化を行えば、画質を保ったままで、拡大したい部分をズームすることができるのです。
画質を変えることなく映像の一部分をズームできるようになり、動画を見ている人が違和感を感じない映像に仕上げることが可能になります。
TecoGANの使い方はどうしたらいいのでしょうか。実際にTecoGANで動画を高解像度化する使い方を解説します。
TecoGANの使い方、まずはTecoGANを使えるようにするための環境設定を行っていきます。TecoGANの使い方では、最初にCUDAを設定します。CUDAはNVIDIAが開発した並列処理のプラットフォームです。
CPUの並列処理能力を最大限化することで、大規模なデータ処理を可能にします。
まずはCUDAのダウンロードページに入り、お使いの環境に合ったものをダウンロードします。
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