2023年04月03日更新
kirin710とsnapdragonを比較!HUAWEIのCPUの性能は?
モバイル用のCPUには様々なものがありますが、HUAWEIのスマホにはkirin710などが搭載されています。このkirin710はどういったものか、日本のスマホでよく利用されているsnapdragonとはどの程度違うのかなどを紹介します。
kirin710とsnapdragonを比較!
スマホにはパソコンと同じく、処理をおこなうCPUが搭載されています。スマホ購入時に気にする人は少ないものの、性能のいいCPUを搭載したスマホを利用することで、ゲームなども快適にプレイすることができます。
kirin710とは?
そんなスマホ用のCPUの1つにkirin710というものがあります。この記事ではこのkirin710についての解説を主としておこなっていきますので、まずはkirin710とはどういうものなのかという点から紹介していきます。
HUAWEIスマホ搭載のCPU
kirin710とは、HUAWEIのスマホに搭載されているCPUのことを指します。kirin710は2018年7月に発表されたCPUです。
HiSiliconによって開発されたモバイルプロセッサー
このkirin710は、HUAWEIの子会社HiSiliconによって開発されたCPUのことでもあります。kirin710を制作したHiSiliconは半導体メーカーで、日本の一部のスマホやタブレットでもこのHiSiliconが作成したCPUが搭載されています。
kirin659よりスマホの処理性能を上げる核の性能が向上した
kirin710は、kirin710が販売される前の最新CPUであるkirin659と比較すると、スマホの処理性能を上げる核の性能が向上しています。
シングルコア性能はkirin659よりkirin710のほうが75%、マルチコア性能はkirin659よりkirin710のほうが68%上がっています。
GPUの性能も、kirin659よりkirin710のほうが30%向上していて、「GPU Turbo」にも対応するようになりました。これによりゲームのプレイも以前のHUAWEIのkirin659を搭載したスマホより快適になっています。
ちなみに、kirin659のAnTuTuのベンチマーク性能の比較に関しても、スコアがCPUで1.5倍、GPUで2倍近い性能差が出ているという報告もあります。
kirin710とsnapdragonを比較!
なお、日本のスマホではkirinではなくsnapdragonというCPUの利用が主流です。
snapdragonにも様々なバージョンがありますので、kirin710と比較してそれぞれどういった違いがあるのかのを「性能/機能/スペック」「価格」「ゲームプレイの快適さ」「AnTuTuベンチマークの点数」で比較していきます。
なお、kirin710との比較対象は2018~2019年に発表されたsnapdragonの665、855、675です。
性能/機能/スペック
まずはkirin710とsnapdragonの665、855、675のそれぞれのスペックは下記の表のとおりです。snapdragonの800代は高性能なのであくまで比較対象として記載しているだけですので、その点は注意してください。
kirin710とsnapdragonの665、675は近い性能です。スペックとしてはサイズがsnapdragonのほうが1nm小ぶりですが大きな差はありません。
比較内容 | kirin710 | snapdragon | ||
---|---|---|---|---|
665 | 855 | 675 | ||
サイズ | 12nm | 11nm | 7nm | 11nm |
CPU コア数 |
8コア | 8コア | 8コア | 8コア |
CPU クロック数 |
Cortex-A73×4 Cortex-A53×4 |
Kryo 260 Gold×4 Kryo 260 Silver×4 |
Kryo 485 Prime×1 Kryo 485 Gold×3 Kryo 485 Silver×4 |
Kryo 460 Gold×2 Kryo 460 Silver×6 |
GPU | ARM Mali-G51 MP4 |
Qualcomm Adreno 610 |
Qualcomm Adreno 640 |
Qualcomm Adreno 612 |
Direct X | 11 | 12.1 | 12.0 | 12.1 |
価格
kirin710とsnapdragonの665、855、675の価格は次の表のとおりです。前述したようにsnapdragonの885は高性能なものではありますが、同じsnapdragonで比較すると高額ではあるもののkirin710よりは安価です。
kirin710 | snapdragon | ||
---|---|---|---|
665 | 855 | 675 | |
45,810円 | 28,800円 | 33,980円 | 38,468円 |
とは言え、この金額はkirin710などを搭載しているスマホの金額です。kirin710などのCPU以外にそれぞれをスマホが搭載している状態と、型落ちとなる現状の金額になるため、実際の販売価格とは異なりますのでその点注意が必要です。
上記表の価格は、kirin710はHUAWEIのP30 Lite、snapdragon665はモトローラのMoto G8 Power、snapdragon855はシャープのAQUOS R3、snapdragon675はGalaxyのNote9のもので、サイトなどによっては変動する可能性があります。
ゲームプレイの快適さ
Androidスマホではゲームの利用を主体にしているという人も少なくありません。そのため、そのスマホでゲームプレイをどの程度快適にできるか、という点はやはり気になる人が多いでしょう。
kirin710の場合、3Dなどが動くリズムゲームなどは画質が荒くなるなど操作や画面の動作に不安が残るものの、荒野行動などのバトルロワイヤルゲームなどのある程度の高負荷であれば問題なくプレイできます。
snapdragon665も、3Dゲームなどは動作がかくかくしてしまいますが、2Dゲームであればサクサク動かせます。荒野行動などのバトルロワイヤルゲームでは、場合によってはカクつくことがありますので、その点注意が必要といえます。
snapdragon855は性能の高いCPUということもあり、ゲーミングスマホ用に活用されることが多いです。HDRゲームにも対応していますので、スマホで高負荷がかかるゲームをプレイしたいという人にはこういったCPUがオススメされます。
snapdragon675はゲーム特化したスマホとは言われています。ゲーミングスマホスマホ用のsnapdragon855には劣りますし、kirin710よりゲームプレイには向いていない性能にはなっているものの、snapdragon655よりは高スペックです。
AnTuTuベンチマークの点数
ベンチマーク(性能テスト)ができるアプリがAnTuTu(アンツツ)です。スマホに搭載されているCPUやGPUなどを、スコアという数値で算出してくれます。
そのAnTuTuで算出された、kirin710とsnapdragon665、855、675のベンチマークの点数が下記の表です。
kirin710よりも高負荷にも耐えられるハイエンドモデルに積まれるsnapdragon855は目に見えてAnTuTuのスコアが高いことは分かるかと思います。
スコア比較 | kirin710 | snapdragon | ||
---|---|---|---|---|
665 | 855 | 675 | ||
CPU性能 | 66,595 | 57,939 | 119,650 | 81,032 |
GPU性能 | 21,853 | 31,798 | 142,048 | 34,578 |
UX性能 | 37,429 | 29,181 | 72,162 | 45,975 |
MEM性能 | 12,706 | 6,174 | 9,191 | 12,817 |
全体評価
AnTuTuでの評価などを含めた全体評価としては、kirin710はsnapdragonの665やsnapdragon675は性能に微妙な差はありますがほぼ同程度だと考えて問題ないでしょう。
snapdragon855はハイエンドモデルでもともとゲーミングスマホに積まれるようなCPUですので、kirin710などと比較すると当然ながら差はかなりあります。
なお、VERSUSというサイトでのユーザーレビューでの全体評価は、10段階でkirin710は10、snapdragon665は8.6、snapdragon855は9.2、snapdragon675は9.3という結果になっています。
最後に
HUAWEIのスマホに搭載されているkirin710は、ある程度のゲームであれば負荷がかかっても利用することができます。
snapdragonの665などよりはkirin710のほうが負荷がかかるゲームへの耐性はありますが、snapdragon855など高スペックのCPUだとkirin710は及びませんので、ゲーミングスマホレベルには及ばないのは事実です。
通常の利用の範囲でのスマホとしてはkirin710のCPUは問題ないので、中古のHUAWEI製のスマホ購入時の参考などにしてみてください。