LINEが7月24日に発表した2019年第2四半期(1~6月)の連結決算は266億円の赤字となり、これはLINE Payの大型キャンペーンなどに235億円を投入したのが原因とされています。またメルカリもメルペイユーザー獲得の宣伝費がかさみ赤字決算の見通しです。
2019年7月25日の株式市場で、LINE(東証1部)が急伸し、終値では前日比310円高(+9.98%)の3415円まで値を上げました。
LINEが前日に発表した2019年第2四半期(1~6月)の連結決算は、売上収益が前年同期比11.5%増の1107億円だったものの、本業のもうけを示す営業損益が218億円の赤字、最終損益は266億円の赤字でした。
これはモバイル決済サービス「LINE Pay」の大型キャンペーンなどに235億円を投入したのが原因だとされています。
LINEが「戦略事業」と位置付けるサービスの主力である「LINE Pay」では、ユーザーへ総額300億円相当のLINE Pay残高を付与する「300億円祭」を行っていました。ユーザーへばらまいた宣伝費用がかさみそのまま赤字としてのしかかった形となっています。
ただ一方で300億円キャンペーンの効果は大きく、LINE Payの月間利用者数はキャンペーン実施前(19年第1四半期)の190万人から第2四半期は490万人に増加しました。
LINEのファン・インジュンCFO(最高財務責任者)は「低コストでユーザーを獲得でき、成功裏に終えたことに満足している」と述べています。
また出澤剛CEOは「戦略事業への投資額は19年第2四半期がピークになる」として今後300億円祭りほどのキャンペーンは行わない考えを示しました。
LINEではコア事業であるLINEアプリ関連のコンテンツ事業や広告事業は成長が続いていて、LINE Payのユーザー獲得に向けた一時的な宣伝費用増加はあっても今後が期待できるとされています。
メルカリは7月25日、2019年6月期通期(18年7月~19年6月)の連結業績予想を発表し、純損益は137億6400万円の赤字になる見通しを発表しました。
モバイル決済サービス「メルペイ」のユーザー獲得に向けて展開したキャンペーンなどの宣伝費がかさみ赤字幅が拡大したようです。
前期(17年7月~18年6月)の純損失は70億円で、営業利益も前期実績(44億円の赤字)から赤字幅が広がる(121億円の赤字)見込みとなっています。
ただ一方で主力のフリマアプリ「メルカリ」事業は安定的に成長しているとし、売上高は516億8300万円と、前期(357億6500万円)から44.5%増という大幅な成長を遂げています。
「メルカリ」は日本で安定的に成長し、米国事業やメルペイもおおむね予想通りに推移しているようです。メルペイは、ゴールデンウィーク中に支払い額の70~50%をポイント還元するキャンペーンを実施するなどユーザー獲得に多額の投資をし話題になりました。
スマホを活用した「キャッシュレス決済元年」の今年、モバイル決済サービスをめぐってソフトバンク系の「PayPay」やLINEの「LINE Pay」など各社が頻繁にキャンペーンを実施しています。
ここで多額のお金を投じ多くのユーザーを獲得できれば、決済インフラとして将来の大きな収穫が見込めるというわけです。2019年7月25日の株式市場で、メルカリ(東証マザーズ)は前日比41円高(+1.46%)の2855円で取引を終えました。
メルカリの今期の赤字額が膨らむとの見通しは既に一部で報道されていましたが、株価は崩れておらず、スマホ決済への投資家の期待の高さがうかがえます。