日本マイクロソフトが、2019年夏に週休3日制を導入するというニュースが今話題になっています。「ライフワークチョイス チャレンジ2019夏」というプロジェクトとして行われる日本マイクロソフトの週休3日制導入取り組みや狙いはどのようなものなのでしょうか。
日本マイクロソフトは、4月22日に、自社の働き改革の加速に向け、「ライフワークチョイス チャレンジ 2019 夏」を2019年8月に実施することを発表しました。
この「ライフワークチョイス チャレンジ」プロジェクトでは、2019年8月の全ての金曜日である2日、9日、16日、23日、30日を休業とし、日本マイクロソフトのオフィスを閉めて、同社に勤める2300人ほどが特別有給休暇を取得するというものです。
8月の間、日本マイクロソフトの全社員は月曜日から木曜日までの週勤4日、金曜日から日曜日の週休3日制とという勤務形態になるということになります。
このプロジェクトのモットーは、下記Twitterにもあるように”短い時間で働き、よく休み、よく学ぶ”とのことです。
これまで、仕事と私生活のどちらを取るか、という二者択一の状況が色濃くありました。その仕事と私生活のバランスを主体的に設定するのが「ライフワークバランス」という考え方にあたり、現在も少しずつそれに改められつつあります。
日本マイクロソフトが行っているのは、そこからさらに一歩進んで、社員各個人が仕事と私生活それぞれの状況に応じた働き方を自分で選択できる環境を用意し、更に生産性及び創造性を向上する、という改革になります。
この「ライフワークチョイス チャレンジ 2019 夏」では、金曜日が休日になった分増えた1日を社員それぞれが自身のスキルアップや家族へのサービス、社会貢献(ボランティア)などに費やすことにより、仕事の生産性や創造性の向上を狙っています。
金曜日が休みになった分、仕事に費やす時間は少なくなりますが、その分能率の高さが求められ、より一層のスキルアップも図れます。また、こういった働き方もあるのだということを世間に周知させることにもつながります。
そして、人それぞれ、その時その時に求めていることはライフステージによって変化します。
ひたすら働きたい人、スキルを磨きたい人、社会貢献をしたい人、子育ての時間を多くとりたい人と、それぞれ違います。みんながみんな同じ行動を求めているわけではないからこそ、無理が出てきてしまうわけです。
いつまでも同じように仕事のやり方を求めていてはどこかで破たんするのも目に見えて明らかと言えるでしょう。主体性をもって仕事に取り組める環境を整えてこそ、創造性が生まれる、というのが日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野氏の考えです。
通常の有給休暇とは別に設定されている特別有給休暇としての休みになるため、この施策により休日取得がさらに増えることになります。
もちろん、休みが増えるということは仕事をする時間も少なくなるということです。仕事の量は変わりませんので、それを維持したうえで達成することが目的の一つにあるとのことでした。
サポート業務などといった常時稼働が必要な部分に関しては別の日に休みを割り当てるなど、柔軟に対応していくようですし、パートナー企業にも事前に周知が行われているという話なので、今後導入を検討する企業の参考となることが期待されます。
日本マイクロソフトは、これまでにも様々な働き方改革を先行して実施してきており、それにより良い結果も得られています。
日本マイクロソフトでは2016年からほぼ全員の社員がリモートワーク(自宅などの自由な場所で仕事をする働き方)を利用できる体制を整え、さらに翌年には育児や介護なども行っている社員のための「ファミリーフレンドリー休業制度」も導入しています。
それらを導入したことにより、社員の生産性の向上も認められ、社内でも満足度は高く、男女間にあった退職率の差もなくなったそうです。
そういった意味では、日本マイクロソフトは働き方改革に関し先行して取り組んできたリーディングカンパニーであるとも言えます。
こういった結果も出ている分、日本マイクロソフトの働き方改革は十分に効果があり、企業側と社員側それぞれに良い影響が与えられるということも分かりますが、なかなか国内の企業にこの働き方は浸透してきていません。
給料も減らずに週休3日制の取り組みがうまくいったのであれば、働く側にとってはありがたい話です。今回の「ライフワークチョイス チャレンジ 2019 夏」が生産性・創造性にどう影響していくのか、非常に興味深いものがあります。
「ライフワークチョイス チャレンジ 2019 夏」プロジェクトを実施するにあたり、勤務時間の変化や様々な項目で効果測定を行い、今後の働き方改革に組み込んでいく予定でいるようですので、注目していきたいところです。
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