大日本印刷(DNP)はiPad上で瞬時に移調できる楽譜アプリ「MuseCloud」を中心とした電子楽譜の制作や配信事業を開始することを発表しました。DNPは一貫して電子楽譜を制作・管理・配信から販売まで行なうトータルサービスを提供することになります。
大日本印刷(DNP)は8月27日、iPad上で瞬時に「移調」できる電子楽譜活用アプリ「MuseCloud」や、オンデマンド印刷による紙の楽譜の販売など、統合的なサービスを提供する次世代型の楽譜流通販売事業を開始することを発表しました。
大日本印刷(DNP)は、楽譜を所有する国内外の出版社や所蔵機関と楽譜を利用する演奏者の双方にサービスを提供し、電子楽譜の制作、配信事業、アプリ関連のサービス提供も含めて2022年までに6億円の売上を目指すとしています。
現在、演奏者が自身の楽器に合わせた移調や読み替えなどを行う場合やページがめくり難い部分について、紙楽譜に対して手作業で修正を加える必要がありますが、DNPは演奏者が移調などの作業を容易に行えるデジタル楽譜の流通チャネルを構築するとしています。
具体的には、演奏者のニーズに応じて楽譜を調整できるというアプリ「MuseCloud」の提供、オンデマンド印刷にも対応する紙と電子のハイブリッドな楽譜の提供、電子楽譜の流通チャネル構築の3点です。
「MuseCloud」はDNPの楽譜配信・活用サービスで、電子楽譜を制作・管理し、ピクシブのマーケットサイト「BOOTH」の楽譜販売ページで販売することが可能となっています。電子楽譜の利用には、iPad向け楽譜活用アプリ「MuseCloud」を提供します。
ハイブリッドな楽譜に関しては、紙楽譜への要望に応じて、オンデマンド印刷による1冊からの楽譜提供が可能としています。蛇腹折りの楽譜形態にも対応し、紙と電子の両方の楽譜を提供します。
そして流通チャネルについては、大日本印刷(DNP)は楽譜浄書から印刷、電子化、販売まで一貫して行うトータルサービスを提供することで、次世代型の電子楽譜流通チャネルを創出するとしています。
「MuseCloud」とは、電子楽譜フォーマット規格MusicXMLとPDFに対応した楽譜活用アプリで、利用料は無料です。対応機種はiOS 12.0以上のiPadのみとなっています。
MuseCloudは楽譜を瞬時に移調できる機能などを備えている他、MuseCloudで制作・管理した電子楽譜をピクシブの通販サイト「BOOTH」の楽譜販売ページで販売することも可能です。
管楽器では楽曲の形を変えずに音域を読み替えて原曲から「移調」を行うことがありますが、「MuseCloud」では、電子楽譜を演奏者のニーズに応じてカスタマイズ可能としています。
MuseCloudではあらかじめ電子化された楽譜の「調性」を読み込み、アプリに組み込んだアルゴリズムによって、楽曲の形を変えずに音域を読み替える原曲からの「移調」が行なえます。楽曲の再生も可能です。
譜面上にさまざまな楽器が記載されているオーケストラなどの楽譜(総譜)では、担当の楽器を選ぶと、そのパートのみの楽譜(パート譜)を表示させることが可能です。
総譜での全体把握とパート譜での自らの位置づけが容易になり、楽曲のより深い理解に繋げられるとしています。今後、保存した楽譜に書き込める機能を追加で開発されるようです。また紙の楽譜のオンデマンド印刷も可能で、蛇腹折りの楽譜形態にも対応しました。
MuseCloudで制作・管理した楽譜を、ピクシブの通販サイト「BOOTH」の楽譜販売ページで販売することも可能で、今冬からは、大日本印刷(DNP)のハイブリッド型総合書店「honto」での販売にも対応すると言います。