スペインやドイツ、スイスなど欧州各国で、スーパーコンピュータがハッキングされ、勝手に暗号通貨の採掘に使用されるという問題が発生しています。これまでもハッキングの事例はありましたが、今回の欧州のスーパーコンピュータのハッキングはかなり大きな問題となっています。
スペインやドイツ、スイスなど欧州各国で、スーパーコンピューターが何者かによってハッキングされ、勝手に暗号通貨の採掘に使用されるという問題が発生しています。
これまでも他人のコンピューターをハッキングして、暗号通貨マイニングに使用するという手口はありましたが、今回はかなり大きな問題となっています。
先週月曜日以降、欧州の広い範囲で大学などの機関が研究で利用しているスーパーコンピュータへのハッキングが検出されています。
最初に報告したのはスコットランドのエディンバラ大学が持つスーパーコンピューター「ARCHER」で、セキュリティ侵害の形跡が見られたとして、調査と再発防止のためシステムのシャットダウンとSSHパスワードのリセットなどが実施されました。
今現在、イギリスやドイツ、スイスで攻撃が確認されていてスペインでも高性能コンピューティングシステムへの攻撃があったことが疑われたたため、コンピュータをシャットダウンする状況となっています。
さらにドイツでも、シュトゥットガルト大学、カールスルーエ工科大学、ウルム大学、テュービンゲン大学でも複数のスーパーコンピュータで攻撃が検出されています。
これらに関しては、複数のスーパーコンピュータ全体で研究プロジェクトを調整する組織「bwHPC」はシャットダウン対応をとりそのハッキング侵害の調査を行っています。
またスイスではチューリッヒのスイス科学計算センターにおいて「サイバー攻撃」が報告されていて、外部からのスーパーコンピュータへのアクセスが遮断されるという事態に発展しています。
このように数日間の間にスペインやドイツ、スイスなど欧州各国において同様のハッキング事例が相次いで報告されていますが、どの組織においても、ハッキング攻撃に関する詳細は公表していません。
これに対し米現地時間5月16日、米国のサイバーセキュリティ企業「Cado Security」は、一連の攻撃には同じマルウェアやシンジケーターが見られ、ハッカーは暗号通貨モネロの採掘を試みていた可能性があると分析しました。
暗号通貨モネロは、採掘に適した「ASIC」や「GPU」などを使わず、通常のコンピューターが所有している計算能力「CPU」で採掘しても収益が得られる傾向があるとしています。
さらに暗号通貨モネロは追跡しにくい匿名通貨という特徴から、これまでハッキングによる採掘の対象となってきました。
「Cado Security」の分析によると一連の攻撃にはマルウェアのファイルが似ていることやネットワークに残っている情報から同じグループによる犯行である可能性があるとしています。
これまでにもスーパーコンピュータにアクセスし、その計算能力を個人的な暗号通貨の採掘に利用しようとした事例は多く発生していますが、今回はハッカーや組織がそれを実行した可能性があるという初の事例とされています。
今後さらにネット環境の発展に伴うセキュリティ対策の強化が求められます。