総務省は「どんなときもWiFi」に対して行政指導を行ったことを発表しました。「どんなときもWiFi」は通信速度制限を行わない無制限で使い放題としてサービスを提供していながら、実際には多数のユーザーが速度制限を受けていたことが判明し、行政指導が入りました。
総務省は2020年6月19日、通信サービス「どんなときもWiFi」を提供する「グッド・ラック」に対して行政指導を行ったことを発表しました。
「どんなときもWiFi」は通信速度制限を行わない無制限で使い放題のサービスとして提供していながら、実際には多数のユーザーが速度制限を受けていたことが判明しています。
グッド・ラックでは「どんなときもWiFi」で通信制限を行う時について、例外的な場合のみとしていました。それが実際には、一定の基準以上のデータ通信を利用していたユーザーに対して上限月間25GBの通信制限を設定していました。
さらに利用者に対して、その通信制限の対象となる月間25GBという上限を明示も行わず、その上利用者からの問い合わせにも回答をしないままだったとされています。3月下旬には、利用者の多くが通信速度を制限されていたことが判明しています。
総務省はグッド・ラックの対応に対して、電気通信事業法の「利用者利益の保護」「事実不告知の禁止」の規定に違反しているとして行政指導を行いました。
総務省が公表した「どんなときもWiFi」に対する行政指導としては、まず、グッド・ラックにおける「無制限で使い放題」というサービスに関する情報の認識不足、またしっかりとした体制を整える前からサービスを提供開始した点を問題視しています。
この結果多くの「どんなときもWiFi」ユーザーは不利益を被ったとして、総務省ではこれらの行為に対して電気通信事業法第1条の「利用者利益の保護」に反するとしています。
またグッド・ラックでは通信容量ひっ迫を解消するために、一定の基準を超えて通信を利用していたユーザーに対して、勝手に月間25GBの通信制限を行っていました。
その一方でユーザーに対してはその具体的な数字などの基準を明示していなかったこと、ユーザーからの問い合わせに対しても不誠実な態度をとったことについて、電気通信事業法第27条の2台1号「事実不告知の禁止」の規定に反しているとしています。
総務省は、グッド・ラックに対して、まず「無制限で使い放題」というサービスを実施するにあたってリスクがあるという点をきちんと認識すること、また今回の事態が発生したそもそもの原因を解明することを指示しました。
そして今後は利用者への適切な情報提供をきちんと行い、わざわざ利用してくれるユーザーの利益を保護するために適切な措置を行うことを指導しています。
さらにユーザーの勧誘にあたっては、あたかもサービスが高い品質があるような説明をし実際よりも誇張した不当なものにならないようにすることなども指導されています。
また電気通信事業法第27条の2台1号の規定を徹底して守ること、今後同じような事態が発生しないように再発防止策を検討することを求め、2020年7月16日までにその内容を文書で総務省へ報告するように指導しています。
総務省は今回の問題に関して、卸元の電気通信事業者等とグッド・ラックとの間で十分な情報の確認や連携などが行われず、きちんとした体勢を整える前にサービス提供を開始したことで適切な対処を行えなかった点について指摘しています。
今現在「どんなときもWiFi」は新規受付を停止した状態となっていますが、今回の指導を受けサービスの安定供給のために尽力するでしょう。