Twitterで話題になった語句を自動的に再投稿する「みんなの忘れたニュースBOT」が注目を集めています。最近のTwitterでは所謂「炎上」が繰り返されていますが、「みんなの忘れたニュースBOT」によって冷静に考え直す機会を作るのが目的とされています。
日々、膨大な情報が交わされる短文投稿型SNSである「Twitter」は匿名・顕名を問わず、数え切れないほどの意見がユーザーから発信されます。
Twitter JAPANの公表資料によると、2017年10月時点で日本国内のアクティブ利用者数は4,500万人にものぼると言われています。最近は特定の話題について加速度的に非難が集中する、いわゆる「炎上」状態が発生することも珍しくありません。
Twitterで話題になった語句を、時間をおいて再投稿するアカウント「みんなの忘れたニュースBOT」が注目を集めています。「みんなの忘れたニュースBOT」はTwitter上で話題が沈静化し、約1ヵ月がたった語句を自動的に再投稿し紹介しています。
Twitterで急激に出現回数が増えてトレンドになった語句のうち、ネガティブかつ急に話題になり、すぐに消えた語句を自動で識別、30~40日間を目安に出現回数を示したグラフとともに再投稿しています。
みんなの忘れたニュースBOTの投稿文にあるリンクをクリックすると、その語句について盛り上がった当時の検索結果やグラフを表示することができます。
「みんなの忘れたニュースBOT」では「電気グルーヴ」や「映画料金」など話題となった様々なキーワードが自動的に取り上げられています。「世間が話さなくなった内容」とともに、その炎上を示すグラフが自動的に掲載されています。
例えば「電気グルーヴ」だと上記のようなグラフとなっています。ピエール瀧氏が逮捕されたことをきっかけに一気に炎上が拡大している様子がグラフを見るとよく分かるでしょう。
「みんなの忘れたニュースBOT」を開発したのは、プログラマーの河本健(@kenkawakenkenke)さんです。開発のきっかけは、最近のTwitterにおける「いろんなことに怒って忘れてを繰り返す空気」を疑問に思ったことからだと言います。
河本さんは普段は都内のIT企業で働く傍ら、様々なソフトウェアやハードウェア作品を発表していると言います。みんなの忘れたニュースBOTは、ゴールデンウィーク中に数日ほどで組み上げたそうです。
河本さんは「みんなの忘れたニュースBOT」の開発の理由について次のように説明しています。
「最近、特にTwitterで炎上のサイクルが短くなっているように感じています。話題の中身を深く知ろうとせずに(場合によっては事実が確定するのも待たずに)、叩きやすい相手を叩いて気持ちよくなって忘れ、また別の炎上ネタに飛びつく様が目につくようになりました。」
「このサイクルの速さを可視化し、定期的に目につくようにすれば、新たな炎上ネタを見たときに本当に自分が一言を言うべき話題なのかどうか、少し考えるクセが生まれるのではないかと思って作りました。」
Twitterでは事件や事故だけではなく、広告や商品、作品や著名人の発言などを巡って様々な炎上が日々起こっています。河本さんは「自分が過去に炎上を面白く感じてしまった経験」から、炎上そのものを以下のように分析しています。
「みんなに叩かれている物を一緒に叩くのが、気持ちいいからだと思います。炎上をすぐに忘れるのは、本質的に自分に関係ないものを叩いているからだと思います。」
Twitterはインターネットへ接続できる環境であれば、アカウントに鍵をかけていない限り誰でもツイートを確認できます。そのためひとたび注目されると、多くの人がリツイートするためどんどんツイートは拡散されていき、より多くの人が見るようになります。
それが名誉ある内容なら良いですが、批判や悪い意味で注目を集めた場合に事態は一転し「炎上」という状況になるわけです。一般的に炎上とは、ネット上で批判を受け否定的なコメントが殺到するような状況を意味しています。
炎上が起こる場所はTwitterがダントツでトップとなっていて、続いて個人ブログやその他SNSと言います。簡単に投稿でき誰でも閲覧が可能というtwitterの性質が、多くの炎上を発生させる要因となっているのでしょう。
否定的なコメントが集まると、そこに乗っかるように全く関係ない外部の人間が、コメントに対してコメントをするなど一気に加熱します。自分の知らないところでツイート内容が独り歩きし、炎上がどんどん拡大するという形になるのです。
炎上が起こる原因はとても多くありますが、大きく分けて「事実に対する反応」と「ただの暇つぶし」という2つがあります。
最近よく起こったのはコンビニやファミレスのアルバイト店員が、冷蔵庫に入ったり食材を使って遊んだりする様子を動画で撮影しTwitterに投稿した場合です。
問題行動を起こした店員だけではなくお店全体にも影響が広がり、それは会社や社会全体を巻き込み大騒動に発展し、酷い場合には全国区のニュースで取り上げられ多額の損害賠償を請求されることもあります。
事実に対する炎上はそのような行為を撮影し投稿しなければ炎上する可能性は低いですが、一方で娯楽としての炎上はどこかに他人を批判するネタがないか、常に探してる人が一定数いるため起こるものです。
批判されるような内容でもないのに、激しく批判され拡散され炎上します。特に社会的地位が高いと周囲から認められている人が、ちょっとした失言や行動をとると、娯楽としての炎上は起こりやすくなるでしょう。
当然投稿する側にも注意が必要だと言えますが、閲覧する側も話題の中身を疑問視し、内容を深く知ろうとすることが重要と言えます。炎上ネタに対して簡単に加わろうとせずに疑問を持つことが大切ですね。
河本さんは「みんなの忘れたニュースBOT」の開発について当時の炎上を蒸し返すことが目的ではないと強調しています。その一方で怒りをなくすことが目的ではない、とも説明しています。
実際に「炎上ネタを単に再投稿し再発火する」ということが起きにくいように、文章や語句など選んで構成することに苦心したと言います。自分が怒りに任せて炎上に油を注ぐだけの投稿をしていないか、一呼吸置いて疑問視することを勧めています。
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