ヤフーと子会社アスクルの対立が鮮明になってます。アスクルとヤフーは共同でBtoC事業「LOHACO」を展開していますが、経営方針等を巡って対立が深まり、ヤフーはアスクル岩田社長の退陣を要求しアスクルは提携解消を申し入れる事態となっています。
ヤフーと、オフィス用品の通販事業を手掛ける子会社アスクルの対立が鮮明になってます。アスクルとヤフーは共同でBtoC事業「LOHACO」を展開していますが、経営方針等を巡って対立が深まっています。
ヤフーは「LOHACO」の事業譲渡の打診やアスクル岩田社長の退陣を要求し、アスクルはそれに反発し7月12日に提携関係の解消を申し入れる事態となっています。ヤフーは17日に「協議は不要」として拒否する考えを示しています。
アスクルとヤフーは、2012年4月に資本・業務提携を締結しアスクルの上場企業としての独立性を尊重しながら協業していました。同年10月に「LOHACO」をスタートし、15年にはヤフーによる出資比率を約45％に引き上げて提携を強化しています。
アスクルが展開するEコマース市場はBtoB、BtoCともに高い市場成長が続き、競合各社は利益・株価は好調に推移していますが、アスクルは業績が低迷しています。
アスクルの主力事業であるBtoB事業の売上成長率は鈍化傾向で、ヤフーが協力して運営している「LOHACO」は、2012年10月のサービス開始から現在まで収益の改善は見られず、14年5月期の約29億円の赤字から悪化しています。
さらに19年5月期は約92億円の赤字となりました。これらの実績からヤフーは17日「現在のEコマース市場の環境下における岩田社長の事業計画の立案力および事業計画の遂行力に疑問を抱くに至った」とし岩田社長の退陣の要求を発表しました。
アスクルが8月2日に開催予定の株主総会の第2号議案（取締役選任議案）において、ヤフーは岩田社長の再任に反対の議決権を行使し退陣の要求を行うとしています。
これに対しアスクルは、17日付で公開した文書で「上場企業としての独立性の侵害が顕著になった。ガバナンスの観点からも看過しがたい、支配株主による強引な株主権の行使だ」とヤフーを批判しこれまで伏せていた両社が対立に至った経緯を公開しました。
アスクルによると、ヤフーから19年1月15日に「LOHACO」の譲渡の可否や譲渡可能な場合の条件を検討するよう連絡があったと言います。
アスクルはこれを受け、社外取締役・社外監査役からなる「独立委員会」と取締役会での審議を経て譲渡しないことを決め、2月26日に譲渡を拒否する旨を伝えたようです。ヤフーからは「誠実な検討に感謝する」との回答があったと言います。
その後アスクルは5月8日に次期取締役候補者について決議し、現任の取締役を全て再任する方針を固めヤフーから派遣されている社外取締役にも伝えたが、それに対し異論はなかったとしています。
しかし6月27日に、ヤフーの川邊健太郎社長と法務部長がアスクルを訪問し、岩田社長に退陣を要求したと言います。そこで岩田社長は7月1日に「自身の進退は、指名・報酬委員会の答申を踏まえ、取締役会で議論する」とし同委員会を3日に開きます。
そして5月に固めた「現任の取締役を全て再任する」との方針を継続することを決議しました。岩田社長を含む取締役の再任案は、独立企業として正当なプロセスのもと決められたことだとの立場を表明しています。
アスクルによると、業務・資本提携では、ヤフー以外の少数株主の利益を傷つけないよう、イコールパートナーシップ（両社対等のパートナー関係）や、アスクルとLOHACOの独立性を最大限尊重することが明記されているとのことです。
アスクルは「ヤフーの一連の行為は業務・資本提携契約の精神に反するものであり、当社としては本提携関係の解消が最適な解決と考えます」と、提携解消を求めていく考えです。
しかしヤフーは業務・資本提携関係の見直しについての協議は不要と拒否し、アスクルとの協議に応じない考えを示しています。