2019年09月14日更新
【PayPay】決済アプリから多機能「スーパーアプリ」を目指す!
スマホアプリを利用した電子決済サービス「PayPay」はサービス開始から間もなく1周年を迎え、今後多機能「スーパーアプリ」を目指すとしています。PayPayが目指すのは単なる決済アプリから利用の幅を広げ、様々な機能がスマホだけで完結する「スーパーアプリ」です。
目次
「PayPay」スタートから間もなく1周年で、ユーザーは1,250万人
スマホアプリを利用した電子決済サービス「PayPay」は、サービス開始から間もなく1周年を迎えます。2019年9月13日1周年記念記者発表会において、「PayPay」中山一郎社長は新たなキャンペーンと今後の事業戦略を発表しました。
中山社長は、PayPayを店頭決済だけの単なる決済アプリから利用の幅を広げ、金融・決済にまつわる機能がスマホだけで完結する多機能な「スーパーアプリを目指す」としています。
今回は「PayPay」のこれまでの取り組みと今後の多機能「スーパーアプリ」実現について解説します。「PayPay」が目指す「スーパーアプリ」とはどのようなものなのでしょうか?
PayPayの一年間の取り組み
「PayPay」は2018年10月5日にサービスを開始したまだ一年弱のサービスですが、2019年9月13日時点でユーザー数は1,250万人、加盟店申込数は140万箇所、累計決済回数は1.4億回に達しました。
8月8日にはユーザー数は1,000万人、累計決済回数は1億回と発表していましたが、この1ヶ月で大幅に利用者と決済回数を伸ばしたことになります。
中山社長によるとPayPayが最も重要としている指標は決済回数と言います。「決済回数がユーザーとのエンゲージメントの高さを証明している」としていて、「使われている決済」としてのPayPayをアピールしました。
PayPayの決済回数が増えたのは、多くのユーザーがPayPayを知った結果と言えます。
中山社長は、この1年間のPayPayの取り組みを「加盟店」「アプリ」「ユーザー」の3つの要素で説明し、加盟店については毎週のように大型店のPayPay対応ニュースをリリースしていることを挙げています。
さらにコンビニやドラッグストア、スーパーなど業界ごとにキャンペーンを連動して開拓し、PayPayの全国に広がる営業網を利用して地域チェーンでの対応を進めています。
中山社長によるとアプリに関してはこの1年弱のサービス期間で週に1回以上、合計60回以上アップデートを実施していると言います。サービス開始時のトップ画面と最新の画面を比較し、多機能性やUIの進化を強調しました。
機能強化や改善を迅速にできてきたのは「PayPayは開発を全て内製している。インド・カナダ・日本の3拠点で24時間開発が行なわれていて、このスピード感が60回のアップデートに繋がっている。」としています。
生活の全てをスマホで実現可能な「スーパーアプリ」を目指す
「PayPay」が機能強化の中で強調して紹介したのが「チャージの多様化」です。ソフトバンクのスマホとの「まとめて払い」や「ヤフオク売上金」、「セブン銀行ATM」などに対応していて、その中でもセブン銀行ATMは想定以上に利用されています。
9月11日からApple Watchでの決済にも対応し10月以降には銀行口座登録のUI改善を実施する予定で、「マップ」機能の強化など今後もアプリ機能の強化を進めていく方針で「2020年の秋頃はより使いやすくなっている」とアップデートを予告しています。
さらに、これまでの「店頭決済」のイメージが強い「PayPay」から、オンライン決済や請求書払い、個人間譲渡など、PayPayの活用シーンを広げていくと言います。
オンライン決済に関しては「ヤフオク!」や「ロハコ」などにすでに対応済みですが、Yahoo!によるZOZO買収とともに「ZOZOTOWN」へのPayPay導入も予定していてさらに多くのオンライン決済対応を目指すとしています。
また、請求書払いも対応する公共料金や税金などを増やしていく予定です。中山社長はこの方針を「スーパーアプリ」と表現していて、「PayPayは単なる決済アプリでなく、多機能のスーパーアプリを目指す」と明言しています。
スーパーアプリを目指すことで日常に必要な機能を網羅しスマホの上で実現し、金融、オフライン、公共料金・税金、O2O、ソーシャル、P2Pの全てをスマホの「PayPay」に実装して提供すると言います。
スーパーアプリを目指す理由
中山社長は「PayPay」がスーパーアプリを目指す理由は世界の潮流としていて、インドの「Paytm」、中国の「Alipay」、インドネシア「Grab」などに言及しています。
これらのアプリを「入り口は配車アプリでも、支払手段と結びついているので手元であらゆる事が可能。公共料金の支払いやチャージ、フードデリバリー、旅行のチケットなどが、自分の手元で完結できる。」としています。
まさにこれらを「スーパーアプリ」としていて、今後「PayPay」IDとサービスを繋いでYahoo!やソフトバンクのIDとも連携しそれぞれから利用可能にするとしています。
今後Yahoo!が提供予定の「PayPayフリマ」「PayPayモール」もYahoo!のアプリからもPayPayアプリからも利用可能になる予定です。
「DiDi」の連携やコカ・コーラの自販機用アプリ「Coke ON」との連携も、スーパーアプリ化を目指す取り組みの一環とし、パートナー企業にAPIを提供して「PayPay」と様々なサービスを繋いでいく予定です。
お得なキャンペーンは今後も実施
「PayPay」は2018年12月の「100億円あげちゃうキャンペーン」をはじめとしたキャンペーンを継続的に実施することで、サービスの認知度が大きく向上し、自社調査でスマホ決済の認知度はナンバーワンになったと言います。
このような効果的なキャンペーンは今後も継続され、10月5日の1日限定20%還元「感謝デー」や経済産業省のキャッシュレス・消費者還元事業連動キャンペーンなどが実施予定です。
また「Coke ON Pay」との連携や9月27日発表予定の「DiDi」との新たなキャンペーン、ユニクロのヒートテック連動など、外部企業パートナーと連携しながらの共同キャンペーンを強化していきます。
また「PayPay」「ソフトバンク」「Yahoo!」「ワイモバイル」のソフトバンクグループの4ブランドが連携した「ニッポンPayPayPay!プロジェクト」を共同展開します。
「PayPay」以外の連携3社も10月に向けて順次プロジェクトを予定していて、詳細は各社から後日発表されるようです。
ソフトバンクショップでのサポートなど、ユーザーサポートも強化
今後さらにユーザーを増やすために、中山社長はキャッシュレスの不安を払拭させることが重要だと説明し不正利用対策を強化しています。
キャッシュレス決済を使わない理由のトップが「セキュリティが不安だから」という点を示し、「PayPay」では端末認証、二要素認証といったセキュリティ設定に加え、個人情報は暗号化することで保護します。
取引はAIや専任スタッフが24時間365日体制で監視し、不正利用があった際は「PayPay」アカウントの有無にかかわらず全額を補償しその旨を規約に明記しました。
またユーザーへの24時間365日の問い合わせ窓口を設置し、「この手の決済事業者では例が無いかもしれないが、困ったときにお答えするのが事業者の責務」と説明しました。
「PayPay」では「キャッシュレス決済の使い方をどこに聞いていいか分からない」という不満を解消するために、全国のソフトバンクショップでPayPayのユーザーサポートを行っています。
10月以降はソフトバンク以外のユーザーでもソフトバンクショップでサポートを受けられるようになります。
中山社長はPayPayの収益化に関して、「もちろん考えているが、当面は利用回数を増やすことを優先している。」と説明し決済事業の収益化よりもまず、「多機能スーパーアプリを目指している」としています。