新型コロナ感染拡大の影響からビデオ会議サービス「Zoom」の利用が広まっていますが、台湾政府が「Zoom」を全面禁止すると発表しました。台湾政府だけでなくドイツ外務省でも「Zoom」のセキュリティの懸念を指摘し全面禁止する事態となっています。
新型コロナウィルスの感染拡大の影響から、世界中で多くの企業や組織がオンライン会議やオンライン授業などテレワークを行うようになり、ビデオ会議サービス「Zoom」の利用率が高まっています。
一方でセキュリティに関する専門家からは「Zoom」のセキュリティとプライバシーに関しては様々な問題が指摘されています。
今回、台湾政府やドイツ外務省などの政府機関では「セキュリティやプライバシーに懸念がある」として、「Zoom」などのサービスの使用を全面的に禁止したことを発表しました。
ビデオ会議サービス「Zoom」においては、クライアントのログイン情報などが盗まれる恐れがある脆弱性があるなど様々なセキュリティ面での問題が報じられています。
ニューヨークの一部の学校ではオンライン授業において「Zoom」の使用を禁止すると発表し、またオーストラリアでは国防軍との会議における「Zoom」の使用を禁止しています。
そして今回台湾政府がセキュリティの懸念から「Zoom」のようなビデオ会議サービスの使用を全面的に禁止すると発表していて、これは国の政府が全面的に使用を禁止することは初めてのこととしています。
またドイツ外務省においても「セキュリティとデータ保護の脆弱性のためリスクが高すぎる」とメモがまわり「Zoom」の使用制限を行ったと、現地メディア「Handelsblatt」に報道されています。
台湾政府は「Google」や「Microsoft」が提供するリモートサービスなど、他の選択肢を検討しなければならないとし、行政機関ではセキュリティリスクを精査してこれらの利用を検討するとしています。
またGoogleにおいても、セキュリティの脆弱性から「Zoom」の使用を制限していると報道されています。
Googleの広報によると、従業員が「Zoom」などのアプリを仕事上で社内ネットワーク以外と接続する場合において、セキュリティ基準を満たしていないため使用できないように制限をしたとしています。
ただ台湾政府と違う点は、全面的に使用禁止しているのではなく、従業員が「Zoom」を使用してプライベートで家族や友人と連絡を取り続けている場合は、Webブラウザ版またはモバイル版の「Zoom」を利用しても良いとしています。
つまり、仕事用のパソコンに「Zoom」を入れたり、リモートワークなどで自宅勤務だったとしても「Zoom」を社内ネットワークに接続したりしない限りは、利用に関しては問題がないということになっています。
前述したように「Zoom」は様々なセキュリティ面での問題が報じられましたが、一連の問題について「Zoom」のエリック・ユアンCEOは新型コロナウイルス感染拡大の対策の中で家庭や学校での利用者が急激に増えたためと言います。
2019年12月末では利用者は約1000万人だったのが2020年3月には2億人以上となり、「Zoom」は急激に増えた利用者に対応しながらサービスを提供していて、プライバシーやセキュリティに対する対策が伴っていなかったようです。
「Zoom」は一部の問題に関して即修正を行い、今後は新機能を追加せずに問題修正に専念するとしています。