Appleがペアレンタルコントロールアプリを削除し、外部アプリを締め出しているという報道がされていますが、Appleがペアレンタルコントロールアプリを削除した理由はiOSのスクリーンタイム機能と競合するからではなく、セキュリティの問題からだとしています。
米新聞メディアThe New York Times(NYT)とデータ調査会社のSensor Towerの分析によると、Appleが過去一年間、自社製「スクリーンタイム」と同様の機能を持つサードパーティ製アプリをApp Storeから削除、または機能制限したと報じられています。
削除されているアプリはスマホやアプリの使用状況や時間を追跡する「スクリーンタイム」アプリや親が子供のスマホ使用を制限する「ペアレンタルコントロール」アプリの17本のうち、少なくとも11本とされています。
2018年9月にリリースされたiOS12ではデフォルト機能として「スクリーンタイム」が追加されました。これはiPhoneの使用状況を把握でき、子供のiPhone使用に制限をかけられるペアレンタルコントロールも含みます。
The New York Timesによると、Appleはスクリーンタイムの機能と被るアプリのいくつかをApp Storeから削除しているため、人気のある2つのペアレンタルコントロールアプリのKidsloxとQustodioはEUの規制当局に苦情を申し立てたといいます。
これは今年3月、サイバーセキュリティ企業のKasperskyがロシア当局にAppleを提訴したことに続く動きで、同社もiOS12でのスクリーンタイム導入後にペアレンタルコントロールの削除が命じられたとしていました。
The New York Timesの報道に対しAppleは公式な声明を発表し、ペアレンタルコントロール機能を持つアプリの削除理由を説明しました。
Appleは「ペアレンタルコントロールアプリケーションについての事実」と題し、Appleはユーザーのプライバシーとセキュリティを危険にさらしたためだと主張しました。つまり外部アプリ削除理由はセキュリティの問題と説明しています。
Appleによると、多くのペアレンタルコントロールアプリは、「モバイルデバイスマネジメント」またはMDMと呼ばれる本来なら企業が所有するデータやハードウェアをコントロールするための技術を一般消費者を対象に不当に使用していたといいます。
MDMはデバイスからユーザーの位置やアプリの利用状況、メールアカウント、カメラへのアクセス許可や閲覧履歴などデリケートな情報を第三者がコントロールしたりアクセス可能とする技術です。
MDMは本来は企業が社内で使うデバイスを管理する用途向けであり、一般ユーザーを対象としたアプリ開発者が利用することはApp Storeのポリシー違反であるとしています。
実際にハッカーが悪意ある目的でMDMのプロファイルを使用できることが調査で明らかになったとしています。こうしたガイドライン違反のアプリ開発者に対して、アップルは違反があることを伝え、まず30日の猶予を与えてアップデートを勧告しました。
この勧告に従わなかったアプリはApp Storeから削除したと主張しています。Appleは「子供のデバイスを管理するための無制限のアクセスを持つべき者は親であるあなただけで、他の誰であってもいけないのです」としています。
Appleは常に、親が子供のデバイスを管理するのを助けるサードパーティのアプリケーションをApp Storeでサポートしてきたと、App Storeプラットフォーム運営の公正さを強調しています。
ペアレンタルコントロールアプリの削除は競争の問題ではなくセキュリティの問題であるとして、iOSのスクリーンタイムと機能が重複するアプリを締め出しているというThe New York Times報道に説明しました。