2019年05月22日更新
GoogleはHuawei既存端末へのサービスを継続!Androidのアップデートは?
Huawei(ファーウェイ)を事実上の貿易ブラックリストに加えた米大統領令を受けて、GoogleがHuawei(ファーウェイ)に対し自社サービスや技術サポートの提供を検討していると報じられていましたが、Googleは既存端末へのサービス継続を発表しました。
目次
Huawei(ファーウェイ)問題でGoogleが声明
Reuterは現地時間5月19日に、アメリカの商務省・産業安全保障局が「Huawei Technologies(ファーウェイ)およびその関連企業68社を輸出規制リスト(Entity List)に追加した問題で、Googleが同社との取引を一時中断したと報じています。
その内容によると輸出規制リストに追加された企業と許可を得ずに取り引きをした場合、その企業も制裁の対象に追加されることもあり、米国再輸出規制(EAR)の対象となるGoogle PayやGmailなどのサービスを停止しているとされています。
これによりファーウェイが中国国外で販売しているAndroid端末について、今後はAndroid OSのアップデートやGoogle Playストア、Gmail、YouTubeアプリといったGoogle製アプリが利用できなくなるためスマホビジネスへの影響が懸念されています。
GoogleはHuawei既存端末へのサービスを継続
このHuawei(ファーウェイ)問題についてGoogleが「既存のファーウェイ製品ユーザーにはGoogle Playサービスを継続して提供する」という声明を発表しました。
声明の内容によると、Googleはファーウェイに対するサービスの提供中止を検討していること、そして現行製品のユーザーに対しては、継続してサービスを提供する意思があることがうかがえます。
For Huawei users' questions regarding our steps to comply w/ the recent US government actions: We assure you while we are complying with all US gov't requirements, services like Google Play & security from Google Play Protect will keep functioning on your existing Huawei device.
— Android (@Android) May 20, 2019
さらにAndroidの公式Twitterアカウント( @Android )で既存のファーウェイのAndroid搭載製品においてGoogle PlayなどのサービスやGoogle Play Protectionによるセキュリティーの保持などは継続して利用できることを明示しました。
GoogleはファーウェイのAndroid端末利用者の不安を解消するよう努めています。
なお日本では日本法人のファーウェイ・ジャパンが5月21日から新製品発表会を予定していて、すでに2019年夏モデルもNTTドコモから「HUAWEI P30 Pro HW-02L」が今年の夏に発売予定となっています。
またauから「HUAWEI P30 lite Premium HWV33」が5月下旬に、Y!mobileおよびUQ mobileから「HUAWEI P30 lite」が5月24日に発売予定となっています。
Huawei製端末に影響があるのか?
Googleは供給されているHuawei製端末に対するGoogle PlayサービスやGoogle Play Protectによるセキュリティアップデートは提供され続けるとの声明を発表しました。
しかし一般ユーザーとしては「今持っているHuawei製端末に影響があるのか?」「すでに開発・生産が終了していてこれから販売が始まるHuawei製端末はどうなるか?」と不安に感じる人も多いでしょう。
今後もAndroid OSを使い続けることができる
Android自身はGoogleが所有するプロジェクトではなくオープンソースプロジェクトなので、Huaweiは今後もAndroid OSを継続し使い続けることができます。
またHuaweiは独自にSoCを開発しているため、Qualcomm製SoCを使えなくなることによる影響もありません。
もし今後のファーウェイ製スマホでGoogle PlayなどGoogleが提供するサービスが利用できなくなったとしても、AndroidのべースとなるオープンソースOS「AOSP」の利用までは閉ざされません。
今後日本などの同盟国にスマートフォン向け部品の輸出を自粛するよう求められるなど、さらに一歩踏み込んだ事態にならない限り、ハードウェアの生産に大きな影響はないでしょう。
中国ではもともとGoogle Playストアなどは提供されずGoogle製のサービスに制限がかけられていることから代替サービスが発達していて、ファーウェイの中国におけるスマホビジネスへの影響は少ないとされています。
中国以外の市場では影響がある恐れ
一方でヨーロッパなどファーウェイがシェアを持つ中国外の市場では、Googleの提供するサービスがなければスマホとしての商品性を引き出すことはできませんので苦戦を強いられると予想されています。
ファーウェイはP30 Proなど優れた端末を販売してはいるものの、その機能やユーザビリティはGoogle提供のサービスやアプリストアに掛かっているところが大きいです。
Google PlayやGmail、Google Mapなどの一連のソフトウェアは、Androidとは別にGoogleが基準を決めて一定水準以上の互換性、品質を持つ端末にのみライセンスしているものです。
Google Mobile Service(GMS)がそれに当たり、端末が認定業者による互換性テストを通過すると、使用ライセンスが発行されプリインストールして出荷できるわけです。
すでに流通・販売されているファーウェイ製のスマホにどのような制限がおよび、新たな端末はOSやアプリ面でどういった対応をするのか、推移を見守りたいですね。
既存のAndroid端末の利用は続けられてもアップデートは可能?
今回のGoogleの声明からは、「少なくとも現在出荷されている端末のGoogle Playなどが動かなくなることはない」ということが分かるだけで、それ以上のことは何の情報もありません。
おそらくGoogle自身が大統領令がどこまで同社のライセンス事業に影響するのかを、まだ法的に精査しきれていないと想像されます。
Androidのバージョンごとに互換性テストが必要
既存端末への対応についてのポイントとなるのはおそらく1つでGoogle Mobile Service(GMS)のアップデートが可能がどうか?という点でしょう。
GMSを利用するための互換性テストとは、Androidのバージョンが異なるだけでやり直しになります。これはセキュリティ対策のためにパッチを当てる場合でも、互換性テストが再度行われるものです。
まずはAndroidのマイナーバージョンアップに対し、Huaweiが自社端末向けAndroidに対策を施した後、互換性テストを通してGMSアプリを再ライセンスできるのか? という点に問題がありそうです。
そしてAndroidのバージョンが大幅にアップデートされる際には、Googleの提供するサービス仕様が大きく変わりGMSで提供される各アプリの仕様が変わる可能性もあります。
その際にも互換性テストを通したとして、GoogleはHuaweiの既存端末向けにGMSアップデートを提供できるのかという点でも問題があるでしょう。
既存端末に関しては影響は最小限に留められると予想
Googleはすでに端末を使っている消費者への影響を最小限に留めるために、各種ライセンスの条文や大統領令の詳細について検討し、どこまでがOKで、どこからがNGなのか、消費者目線で可能な限りのサポートをするものと予想されています。
様々な影響を考えると、既存端末に対しては全てOKという判断へと落ち着く可能性が高いでしょう。
安全保障上のリスクがあるとは言え、すでにグローバルで流通している端末のアップデートが停止し、セキュリティ上の問題を抱えたまま使われ続けることは、社会全体の不利益となり得るからです。
既存のAndroid端末の利用は続けられてもアップデートができないかも? という懸念は意外と解決する可能性は高いかもしれませんが、今後同様のケースで突如、特定メーカーのアップデートが止まる可能性はゼロではないと言えるでしょう。
今回のファーウェイ問題をきっかけに、Android端末に関して、Googleへの依存度を下げようという動きが一部で進むかもしれません。