KDDIやソフトバンクなど21社の電気通信事業者は総務省が示した「NTTの共同調達」の容認に反対する意見を提出したことが明らかとなっています。「NTTの共同調達」の容認に対する反対意見をKDDIなど21社が提出した内容についてご紹介します。
KDDIやソフトバンクなど21社の電気通信事業者が、独占や競争力の低下につながるとして、総務省が示した「NTTの共同調達」の容認に反対する意見を提出したことが明らかとなっています。
反対意見を提出したのは、2019年12月17日に総務省の「情報通信審議会」において実施された「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」に対する最終答申を受けたものとなっています。
なお、総務省が示した「NTTの共同調達」の容認に反対する意見を提出したのは、KDDIやソフトバンクなど21社となっていますが、ジュピターテレコム(J:COM)など8社も反対の趣旨に賛同しています。
NTTは、以前、日本電信電話公社として、国内の通信事業のほとんどを一社で独占して行っており、独占の禁止や他の通信会社との競争を進める目的で、1999年に東西NTTと長距離通信専門のNTTコミュニケーションズに分割をされました。
これまでの経緯を踏まえ、現在では、NTT東日本とNTT西日本、NTTコミュニケーションズは、通信サービスに必要となる設備をそれぞれ独自調達を行うことが義務づけられています。
総務省の「情報通信審議会」において実施された「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」では、通信事業者のグローバル展開を推進する目的から、公正競争を阻害しない措置を追加し、NTTグループの共同調達の規制を緩和する答申が出されました。
現在は、NTTや、NTTドコモ、NTTデータ、NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズなどが共同で資材を調達することが規制されていますが、緩和により、NTTドコモ以外のNTTグループ企業が機材を共同調達できるようにする方向が示されたのです。
総務大臣に共同で反対意見を表明した通信事業者については、KDDIやソフトバンクのほか、両社のグループ会社や地域通信サービスを展開する29社となっており、電気通信事業者にあたる21社が総務大臣に意見の提出を行いました。
NTTグループの市場独占や競争力の低下につながるとして、意見申出書を提出した21社については、以下の通りとなっています。
市場独占や競争力の低下につながるとして反対している21社の意見書についてご紹介しておきましょう。
今回、総務省の総務大臣に、申請書を提出した21社は、今回の「電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証」の答申に盛り込まれた「公正競争を阻害しない措置」について具体的な根拠が示されていない点を指摘しています。
また、規制緩和により、NTTグループが強くなり競合企業が不利な競争を招くと懸念を示しており、公正な競争環境が衰退し、来る5G時代においてユーザーにとっても不利となり、利用者料金の高止まりやイノベーションの停滞が起こると主張しています。
今回、総務大臣に提出した意見書では、「公正競争を阻害しない範囲」の明確化を求めており、明確な回答が得られるまで、共同調達の許可を行わない旨を意見しています。