「Zoom」では「エンドツーエンド暗号化」について、無料ユーザー向けにも提供することを発表しました。「Zoom」は今回、テキストメッセージで電話番号確認を行い本人確認をするなどの対策を行うことで、無料ユーザーにも「エンドツーエンド暗号化」を提供します。
米現地時間6月17日、ビデオ会議サービス「Zoom」では、これまで有料ユーザーのみに提供されていた「エンドツーエンド暗号化(E2EE)機能」について、無料ユーザー向けにも提供することを発表しました。早期ベータ版では7月に開始される予定です。
「Zoom」は、新型コロナウィルスの感染拡大によって利用者が増えている一方で、様々なセキュリティに関する問題が指摘されてきました。
「Zoom」ではセキュリティを向上させる計画を開始し、2020年5月にビデオ通話の暗号化技術を開発している「Keybase」を買収しています。「エンドツーエンド暗号化」を無料ユーザーへも提供し、ようやくセキュリティ面で安定しそうです。
「エンドツーエンド暗号化」とは、通信データを全て暗号化して、ビデオ会議参加者の端末でのみ閲覧できるようにするものです。
この機能を有効にすると、電話での参加や「クラウド録音」などができなくなりビデオ会議のデータの保護と改ざんに対するセキュリティを強化することができます。
米現地時間6月2日、「Zoom」の第1四半期(2~4月)の業績発表後のWeb会見において、エリック・ユアンCEOは「エンドツーエンド暗号化」を有料ユーザーのみ利用可能にする理由を説明していました。
エリック・ユアンCEOによると、法執行機関に協力するために無料ユーザーには「エンドツーエンド暗号化」を提供するつもりがないとしていました。無料ユーザーにも提供することにより「Zoom」アプリが違法な行為に使われる可能性を示唆していました。
しかしZoomは「エンドツーエンド暗号化」を今回全てのユーザーに提供すると方向性を変更しました。これは、GoogleやMicrosoftがビデオ会議サービスについて強化しているという理由が考えられます。
ビデオ会議サービスの競争が激化する中で、ユーザーの「Zoom」のセキュリティに関する不安を解消する狙いがあると言えます。
今回無料ユーザーを含む全ユーザーで「エンドツーエンド暗号化」が利用できるように方向性を変更するに先立って、「Zoom」では「エンドツーエンド暗号化」を発表して以来、暗号化の専門家や政府の代表者などと連携しフィードバックを集めたと言います。
そのフィードバックの結果、「Github」上に新しい「エンドツーエンド暗号化」の設計案を公開して全ユーザーが「エンドツーエンド暗号化」を提供することができる新しい技術を見つけたと説明しています。
今回、無料ユーザーを含む全ユーザーで「エンドツーエンド暗号化」が利用できるようになり、その際懸念されていた悪用回避策が公表されています。
無料ユーザーの場合は「エンドツーエンド暗号化」へのアクセスを毎回1回限りとし、そのたびテキストメッセージにより電話番号の確認を行い本人確認をするための情報を提供することになります。
電話番号確認でいちいち本人確認を行うことで悪用対策をするとしています。また会議の管理者は、アカウントまたは会議単位でこの機能をオン・オフできるようになるとしています。