クアルコムは長年紛争してきたアップルとの和解合意により収益が約5000アップすることを発表しました。クアルコムとアップルは、和解合意におり5G技術に欠かせない、チップ供給に対する特許のライセンス契約を結ぶこととなります。
2017年にアップルがクアルコムに対し、『クアルコムが要求する特許のライセンス料金は高すぎる』と主張を行いました。
アップルは、これ以降、ライセンス契約の更新を止め、サプライヤーを通じたライセンス契約の支払いまで止めていました。その後、アップル・クアルコムの両社が互いに訴訟を起こしてきました。
この事態をうけ、アップルがチップにIntel製を採用するなどの方針に転換する一方で、クアルコムはいくつかの国で特許権侵害の訴訟に勝利することとなり、特許権侵害の訴訟に勝利した地域へのiPhoneの輸入について阻止を続ける行為を行ってきたのです。
こうした中、アップル・クアルコムの両社は、先般、和解に合意したことを発表しました。この発表によると、アップル・クアルコムの両社は世界各地で互いに対する訴訟をすべて取り下げることで方向性を一致させました。
チップ供給の米大手半導体であるクアルコムですが、アップルとの特許紛争を終わらせた和解の合意により、45億~47億ドル【日本円で5020億~5240億円】もの収益が上がる見込みであることを公表しました。
クアルコムがアップルと和解に合意したことでの収益アップの理由としては、チップ供給に対するライセンス契約のアップルからの現金払いによる収益によるものと公表しました。
また、この金額の理由には、これまでクアルコムが支払が発生していたアップルやサプライヤーなどへの支払い義務から免除される額を含むと発表しています。
アップルでは2019年末から2020年にかけて、次世代通信規格の5Gの普及が始まる予定となっています。アップルはクアルコムとの特許紛争が長引くことで、次世代通信規格の5Gの普及に大きな影響を及ぼすと判断しました。
現在、販売が伸び悩んでいるiPhoneの5G特需を見逃すことになるかもしれず、チップ供給の米大手半導体であるクアルコム抜きの5G戦略は、アップルにとってかなり難しいという状況になっていました。
これに対し、中国の通信企業Huaweiはクアルコムとともに5Gのサプライヤーとして有力で、アップルにチップ供給の5G戦略の協力を申し出ていましたがアップルはHuaweiとライセンス契約を結ぶことはしませんでした。
理由として、アップルがHuaweiと手を組むことは、現在米国で中国の通信機器を「安全保障上」の問題から閉め出している背景を考えても合意することは皆無に等しいと考えられてきました。
一方でクアルコムとの特許紛争以降採用してきたサプライヤーであるIntelについては、4GチップでもQuaクアルコムに性能で劣ると評価されており、5Gチップの開発も進行が遅れています。
アップルはIntelに通信チップを依存していれば、5Gスタートに影響するかもしれず、アップルが自社開発を始めるにも、技術的・法的に不安が取りざたされていました。
また、特許絡みの係争に関しては、将来アップルが作るデバイスにおいて5Gモデム搭載に影響が出るとの懸念観測も出ていました。
iPhoneやiPadはもちろんですが、5Gの場合は低消費電力や基地局あたりの同時接続数などのIoT向け改善点があるため、Apple Watchへの影響も皆無とは言えません。
アップルとしては5Gのスタート時に少しでも早く製品を出してノウハウを蓄積し、他社よりも優れた製品開発へのフィードバックを得たいのですから、すぐにでも5Gモデムが欲しかったところではないでしょうか?
アップル・クアルコムを和解合意に結び付けた大きな要因は、両社が苦戦していた中国スマートフォン市場が影響しているかもしれません。