インテルは自社のモデム関連の特許を含む8500もの資産を競売に掛けたことが報じられていましたが、その交渉相手がアップルである可能性が報じられています。インテルは売却先を明かしていませんが、IAMによると特許の売却先の最有力候補がアップルであるとしています。
インテルは6月に、自社の特許ポートフォリオからモデム関連の特許を含む8500もの資産を競売に掛けたことが報じられていました。それから数週間後、その大部分の購入を希望する特定の買い手と交渉に入ったことが伝えられています。
海外メディアIAMによるとこの具体的な買い手がどの企業であるかはまだ明かされていませんが、アップルが最有力候補の一つであることが推測されています。
知的財産権ビジネスに詳しい海外メディアIAMは以下のように伝えています。
現地時間7月9日、インテルの商標・規格ライセンスの責任者であるジェームズ・コバックス氏から購入意向を示していたその他の買い手に対し電子メールで通知があったと言います。
IAMが入手した通知の文面には、競売に掛けられた資産は「非常に強い市場の関心」を集めながらも「現時点で他の入札者のこれ以上の関与を排除」して、特定の買い手と独占的な交渉に入ったと記されていました。
インテルは通知の中で売却先の交渉相手の情報は一切明かしていません。企業なのか、投資家なのか、あるいはコンソーシアムなのかも分かっていませんが、これまでの経緯から見て交渉相手がアップルである可能性も否定できないと言います。
IAMはその通知から交渉相手が誰かのヒントは与えられなかったものの、これまでアップルがスマートフォンのモデム事業に興味を持っていると噂されてきたことを考えると、同社である可能性が高いと分析しています。
交渉相手がコンソーシアムの場合は数社間で話をまとめるのに時間がかかり、また投資家の場合は資金集めにさらに時間がかかるでしょう。
一方アップルは、インテルのワイヤレス関連技術について誰よりも詳しく知っている上に購入する資金力もあるとして、IAMは現在のIntelの交渉先はAppleである可能性が高いと見ているようです。
実際に、アップルはインテルからモデム事業の一部について買収交渉を続けているとも報じられていました。
先日のIAM報道によると、インテルが競売にかけている8500もの資産のうち、6000件が3G、4G、5Gの携帯通信規格に関連するもので、ワイヤレス実装技術に関する1700件の特許もそこに含まれていると伝えられていました。
アップル関連のインサイダー情報で知られるアナリストMing-Chi Kuo氏は、アップルがiPhone用に自社開発の5Gモデムチップを2022年〜2023年頃に向けて開発中と予測していました。
そんなアップルにとって、インテルの特許の数々は非常に貴重な価値を持つものだと考えられます。
今年4月に、アップルはクアルコムに巨額を支払って特許紛争を終わらせ、引き換えにiPhone2020年モデル向けの5Gモデムチップを調達できたと見られています。
しかしこれもアップル社にとっては通過点にすぎず、ゆくゆくはiPhoneの心臓部であるAシリーズチップと同様にモデムもすべて自社開発に置き換える構想があるのかもしれません。