macOS Catalinaの正式版が一般ユーザ向けに公開されましたが、macOS Catalinaにアップデート後「メール」アプリでの不具合が確認されています。不具合は「メール」アプリのデータが消えるというもので、Appleの対応は現時点では不明です。
Appleは10月8日、macOS Catalinaの正式版を一般ユーザ向けに公開しました。しかしこの公開されたmacOS Catalinaにアップデートすると、Macの純正「メール」アプリにおいてメッセージが消える不具合が確認されています。
「メール」アプリ対応のスパムフィルタ「SpamSieve」などを開発したMichael Tsai(マイケル・ツァイ)氏はmacOS Catalinaへのアップデート後にメールデータが消える不具合が生じたと複数のユーザーから連絡があったことをブログで報告しています。
Tsai氏によるとmacOS Catalinaにアップデート後に「メール」アプリ(バージョン13.0)を開くと、「メールデータの更新に成功しました」という趣旨のメッセージが出ます。
しかしその後メールデータを確認するとメッセージが失われていたり、不完全な形で表示される不具合の報告を多くのユーザーから受け取っていると言います。
また同じく複数のユーザーから報告されている不具合として、メッセージをドラッグ&ドロップまたはApple Scripで他のメールボックスに移動すると、メッセージのデータがヘッダーだけ残して空白になる問題も確認されているようです。
さらにメッセージがサーバーのメールボックスに移動されると、他のMacおよびiOSデバイスにも削除済みとして同期されることになると言います。そして結果的にこれが最初のMacにも同期され、メッセージも消えることもあるとされています。
この不具合は、影響を受けたメッセージやメールボックスを見るまでユーザーが気付かないだけに深刻だ、とTsai氏は指摘しています。
Appleの公式サポートはmacOS Catalinaで消失したデータをTime Machineバックアップから復元するのは不可能だとユーザーに伝えています。Tsai氏によるとバックアップから復元が不可能というのは間違いとしています。
復元方法は、Time Mashineから以前のメール用データ保存フォルダを取得し、「メール」アプリの「ファイル」から「メールボックスを読み込む」を選択することでメッセージを復元することが可能だそうです。
Tsai氏はこのデータは新たなローカルメールボックス扱いのため、サーバー上のメッセージには影響しないと述べています。
ただ、Tsai氏はこの不具合はかなり有害であると警告していて、ユーザーは影響を受けるメッセージやメールボックスを確認しない限り、データの破損に気づかない恐れがある点を指摘しています。
そしてメールデータは絶えず変化していて、最新のバックアップデータをそれ以降のデータと統合する簡単な方法がない点も厄介であると言えるでしょう。
Appleは、macOS Catalina 10.15.1のベータを開発者に提供していますが、このバージョンで「メール」アプリのデータ消失問題が解決しているかはまだ不明です。
今後のAppleの対応は現時点では不明ですが、メールデータの破損を避けたい場合は、今のところはCatalinaの純正メールは使用せず、Web版Gmailやその他のクライアントを利用する方が無難かもしれません。