米国と韓国ではすでに商用サービスが始まっている5Gですが、日本でも5Gの電波割り当てが4キャリアへ決定しました。電波の割り当てには4キャリアに共通の条件とソフトバンクと楽天には個別の追加条件がつきました。2020年春以降の商用化を目指します。
総務省は電波監理審議会からの答申を受けて、5Gで各社が使用する周波数帯の割り当てを決定しました。5Gの周波数割り当ては、NTTドコモ、KDDI(沖縄セルラーを含)、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアが申請しました。
割り当て対象の周波数帯は、3.7GHz帯および4.5GHz帯(どちらも1枠が100MHz幅)と、28GHz帯(1枠が400MHz幅)で、各社とも第一希望の枠は競合していて比較審査が実施されました。
今回申請した4キャリアはいずれも基準を満たしていると判断されました。4キャリアは割り当てられた周波数でエリア整備を進めて、2019年秋に試験サービスを開始し、2020年春以降の5G商用化を目指します。
4キャリアに割り当てられた5G電波は下記の通りです。合計600MHz幅が付与されるドコモとKDDIに対し、ソフトバンク・楽天は合計500MHz幅に留まります。
帯域幅は広いほど大容量で通信できるため、ドコモとKDDIに対してに有利な割り当てとなっています。これは各社の5G導入計画などを審査した結果から決定されました。
NTTドコモ:合計計600MHz幅
・28GHz帯(400MHz幅 x 1)
・4.5GHz帯(100MHz幅 x 1)
・3.7GHz帯(100MHz幅 x 1)
KDDI:合計600MHz幅
・28GHz帯(400MHz幅 x 1)
・3.7GHz帯(100MHz幅 x 2)
ソフトバンク:合計500MHz幅
・28GHz帯(400MHz幅 x 1)
・3.7GHz帯(100MHz幅 x 1)
楽天モバイル:合計500MHz幅
・28GHz帯(400MHz幅 x 1)
・3.7GHz帯(100MHz幅 x 1)
今回の5G電波の割り当てにあたって、総務省は4キャリアに共通の「守るべき条件」を求めました。
10km四方の全国メッシュにおける5Gカバー率(厳密には10Gbps以上の高速回線を有する5G基地局展開率)を5年後までに50%以上にすることや2年後までに全都道府県の最低1都市でサービスを開始することなどが挙げられています。
ドコモとKDDIは5年後までに上記カバー率をそれぞれ全国で97%・93.2%まで引き上げると申告しましたが、ソフトバンク・楽天モバイルの申告はそれぞれ64%・56.1%とされていて、この差も審査結果に影響していると言えます。
商用のサービス開始時期は、ドコモが2020年春、KDDIが2020年3月、ソフトバンクが2020年3月頃、楽天モバイルが2020年6月頃としています。
さらにソフトバンクに対しては、2018年12月に発生した大規模通信障害を念頭におき、5G電波の割り当てに際して「重大事故の再発防止策の徹底」「電気通信設備の安全・信頼性の向上」を追加条件として求めています。
また新規参入となる楽天モバイルに対しても、4Gサービスが開始されていないことから円滑な5Gサービスの開始を追加条件として求めています。
「基地局の着実な開設」「社内体制の整備や人員の確保」「財務健全性の確保に務めること」などが追加条件として付されています。