日本レコード協会などの音楽団体やサービス事業者はAppleへ「無許諾音楽アプリ」の対策強化を求める要望書を提出したことを発表しました。これまでも日本レコード協会はAppleへ無許諾音楽アプリの削除申請を行なっていましたが、改めて対策強化を求めています。
日本レコード協会などの音楽団体や音楽配信サービス事業者は7月11日、権利者に無許諾で音楽を配信する「無許諾音楽アプリ」の対策強化を求める内容の要望書を米Appleに提出したことを発表しました。
要望書は一般社団法人 日本レコード協会、一般社団法人 日本音楽事業者協会、一般社団法人 日本音楽出版社協会、一般社団法人 日本音楽制作者連盟の音楽関係4団体から提出されました。
さらに音楽配信サービス事業会社であるAWA株式会社、KKBOX Japan合同会社、LINE MUSIC株式会社、楽天株式会社の4社も連名で加わっています。
「無許諾音楽アプリ」とは、許諾のない楽曲をユーザーがストリーミング視聴やダウンロードすることができるなど、著作権者や著作隣接権者ら権利者が想定しない形の音楽配信を可能にするアプリのことを指しています。
「無許諾音楽アプリ」により多くのユーザーが当該アプリで音楽聴取を行ない、運営者がアプリ上に掲載される広告から不当に利益を得ることで、著作権が侵害されていると主張しています。
本来であれば、音楽CD、ダウンロードまたはストリーミング販売などを通じて著作権者や事業者に正当に得られるべき収益が収奪されているとしています。
また無許諾音楽アプリのユーザーにとっても、不正なアプリを使用することによる個人情報流出などの問題も指摘されており、これは社会的な課題としています。
日本レコード協会などの音楽団体や音楽配信サービス事業者はAppleに対し以下の2点の内容を要請しています。
このような現状を背景に、音楽関係団体と音楽配信サービス事業者は対応と対策の強化を求めて上記の内容の要望書の提出に踏み切ったと言います。
「今後も無許諾音楽アプリ対策強化について協議・対策強化をすすめ、健全かつ公正な音楽市場の形成を目指し、対応を進める。併せて、リーチサイト・アプリを規制する著作権法の早期改正を求める」としています。
無許諾音楽アプリを巡っては様々な音楽が無許諾で無料配信されている「Music FM」などが若者を中心に利用されていて問題となっていました。
日本レコード会社が2019年4月に発表した2018年度「音楽メディアユーザー実態調査」によれば、「主な音楽聴取手段」の1位はYouTube、ついで音楽CD、テレビ、音楽CDからコピーした楽曲ファイルとなっています。
YouTubeは動画視聴サービスですが音楽を聴く手段として使用している人も多く、音楽にお金を使う余裕がない、あるいは使いたがらないユーザーの傾向が表れています。
無許諾音楽アプリについては違法と知らずに使っているユーザーも多く、アプリ開発者に対する対処はもちろんそうしたアプリを使わないという意識をユーザーが持つことも求められます。