Googleは「Pixel 4」の顔認証のために、従業員が通行人に声をかけ顔データを5ドルで収集していることを認めると報じられました。Googleは性別や肌の色などによって顔認証精度に偏りがあるため、幅広い人々の顔データを収集する必要があるとしています。
先日、米テックメディアの「ZDNet」によって、Googleが通行人に声をかけ、5ドルのギフトカードで顔データを収集していることが報じられました。
Google社員を名乗る男はニューヨーク市やフロリダ州マイアミで「次世代スマートフォン向けの顔認証機能の改善に利用する」と申し出てそのような活動を行なっていたようです。
そして「The Verge」は米現地時間7月29日、Googleが発表した次期フラグシップ「Pixel 4」の顔認証システムのために、従業員が町で通行人に声をかけ、顔データを5ドルで集めていることを認めると報じました。
Googleの広報担当者は米国の複数の地域で「現地調査」と呼ぶ調査を実施していることを認めると共に、顔認証には性別や肌の色などによって認識精度に偏りがあり、「Pixel 4」ではこれを回避するため幅広い人々のデータを必要としていたとしています。
Googleの従業員の顔データだけでは不十分だったので、報酬と引き換えに通行人から顔データを収集していたというわけです。
Googleは顔データ収集にあたり、通行人にしよう目的を説明し同意を得た上で行われていて、顔データだけではなく時間や周囲の明るさ、テーブルから電話を持ち上げるときの握り方などの関連情報も収集しています。
希望すればデータを削除すると約束し、集めた顔データは18カ月保存されています。最低限の連絡のためにメールアドレスは求めたようですが、顔データは極力匿名化してGoogleアカウントとは関連付けないようになっていると説明しました。
当初は位置情報も含まれていたとのことですが、このデータは不要だったとして現在は収集していません。
広範囲な人からの顔データの収集は、Appleが「Face ID」を採用する際にも実際に行われていました。Googleが同様のアプローチをとっているのは、それだけ「Pixel 4」の顔認証に力を入れている証拠とも言えるでしょう。
「Pixel 4」が搭載する顔認証アンロック機能は、他社のスマホと同様に赤外線カメラを利用しますが、Soliとの併用により、ユーザーがPixel 4を使おうと手を伸ばした時点から顔認証センサを起動する仕組みとなっています。
Soliとは60GHz帯の電波を使い、ジェスチャーなどスマホ周囲の動きを認識する技術です。つまり「Pixel 4」ではスマホを持ち上げて顔の正面に構えて待つ必要はなく、ただ手にとっただけでアンロックが完了するとされています。
Googleによると、顔認証アンロックはあらゆる向きで可能で「Pixel 4」を上下逆に持っても機能するため、たとえば電子マネーの決済などに認証が必要でも画面を正しい向きで注視する必要もないと言います。
Googleは「Pixel 4」が搭載するこの機能について、スマホの使い勝手を改善するものであると同時に「アンビエント・コンピューティングに向けた一歩」としています。
「アンビエント・コンピューティング」とはスマホやパソコンなどのコンピュータが周囲の環境そのものに溶け込み、意識せずに使える、あるいは操作そのものを意識する必要をなくすといった概念です。
Googleはこの「アンビエント・コンピューティング」の実現に複数のハードウェアが連携して働くことが必要と考えていて、「Pixel 4」へのSoli搭載はその第一歩という意味合いがあると言えるでしょう。