「ESA」はソニー、任天堂、マイクロソフト各社が、ルートボックスの排出確率の開示を義務化する取り組みを進めていることを発表しました。任天堂・ソニー・Microsoftがルートボックスの確率開示を義務化することでガチャシステムに対する批判を避けようとしています。
アメリカのコンピューターゲーム業界団体である「ESA」は8月7日、ソニー、任天堂、マイクロソフトのプラットフォーム各社が、有料ルートボックスの排出確率の開示を義務化する取り組みを進めていると発表しました。
この発表は「ESA」が2019年8月に行われた米連邦取引委員会(FTC)のルートボックス関連ワークショップの席上で発表したもので、各プラットフォームは2020年までにルートボックスの確率開示の義務化への取り組みを行なっているようです。
すでにActivision Blizzard、バンダイナムコ、Bethesda、Bungie、EA、Take-Two Interactive、Ubisoft、Warner Bros.、Wizards of the Coastがこの方針に同意していて、その他のパブリッシャーも検討していると述べられています。
「ルートボックス」とは、日本で言うところの「ガチャ」とほぼ同義で使われるゲーム内要素です。アイテムやキャラクターごとに確率が設定され、その中からランダムな抽選によりそれらが排出される仕組みを指します。
日本で言う「特定のアイテムなりキャラクターを一定確率で入手できる」ガチャとは厳密には異なりますが、ESAの発表に「ゲーム内の仮想アイテムを入手する相対的な希少性または確率」との記述もあるので、広い意味で含まれるようです。
ESAの技術ポリシー部門で働くマイケル・ウォーネック氏は「有料ガチャ機能を追加する新しいゲームや、更新により新たにガチャが実装されるものは、ガチャで入手可能となるアイテムの排出率を開示する必要があります」と語っています。
ここではPCゲームやその他のプラットフォーム(スマートフォンなど)については言及されていませんが、Appleが提供するiOS向けのアプリストアであるApp Storeは、2017年12月にガチャの確率開示を義務化しました。
同じくGoogleがAndroid向けに提供しているアプリストアのGoogle Playストアは、2019年初頭にガチャの確率開示を義務化しています。
日本のゲーム会社がスマホの普及以降、ソーシャルゲームのガチャ課金システムで大きな利益を上げてきたことは多くの人が理解していることでしょう。
以前と比べるとガチャに依存しないゲームも増えてきていますが、依然としてガチャシステムが稼ぎ頭になっているゲーム会社も少なくはありません。
ただ、アメリカやヨーロッパ各国では、日本と比べるとルートボックス(ガチャ)の課金システムに対する視線はとても厳しいものとなっています。
アメリカでは子供向けゲームでの有料ルートボックスなどを禁じる法案が提出され、ベルギーでは「FIFA18」などのルートボックスが賭博法違反だと認定されていて、世界各国でガチャ方式のビジネスモデルに対する批判の目は厳しさを増しつつあります。
とはいえ現在スマホゲーム等の主流である「基本無料(F2P)プラスアイテム課金」というシステムでは、ガチャ方式は不可欠とも言える要素となっています。
ガチャシステムを消滅させるわけにはいかない以上、「ガチャの確率開示」などできるかぎり透明性を高めて社会との共存を図るという取り組みがこれからも模索されていきそうです。