トロイの木馬とは? ウイルスとの違いや検出/駆除/対策方法まとめ
パソコンを普段使用している皆さん、トロイの木馬とは何かをご存知ですか?ウイルスと思っている方もいらっしゃいますが、実はトロイの木馬とは、ウイルスとはまた別のものなのです。今回は、トロイの木馬とウイルスの違いなどを説明。対策方法なども紹介していきます。
目次
トロイの木馬とは?
「トロイの木馬」。パソコンを使用している方であれば、一度は聞いたことがあるでしょう。トロイの木馬がパソコンに入り込んでしまうと、取り返しの付かないことになってしまう恐れもあります。
しかし、トロイの木馬はウイルスとはまた違う分類になるのです。では、一体トロイの木馬とはどういうものなのでしょう。
今回の記事では、トロイの木馬とは何なのかを解説していきます。ウイルスとの具体的な違いや、トロイの木馬の侵入を防ぐ対策法などを紹介。パソコンを普段使っている方はぜひ、ご覧ください。
悪意のあるソフトウェアのマルウェア
トロイの木馬とは、具体的にいうと「悪意のあるソフトウェアのマルウェア」という括りになります。マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアの総称として使われる名称です。
正式名称というわけではなく、マルウェアは悪意があるという意味の英単語、「malicious」とソフトウェアを掛け合わせた造語になります。
分類上トロイの木馬はウイルスではない
ウイルスとは違い、「マルウェア」の一種ということになります。悪意があるため、ウイルスと同じように有害なものであることは間違いありません。
悪質ではないソフトウェアと見せかけて、パソコンに進入するソフトウェア。それがトロイの木馬です。危険と思わせないための偽装が巧妙なため、トロイの木馬に悩まされる方も少なくはありません。
実話のギリシャ「トロイの木馬」が由来
なぜトロイの木馬と呼ばれるのか不思議に思う方も多いかと思います。トロイの木馬とは、実はとある実話から名付けられたものです。皆さんは、トロイア戦争のことをご存知でしょうか。
ギリシアの実話、トロイア戦争で使われた罠の装置「トロイの木馬」が元となってつけられた名前です。実話の内容は、大きな木馬の中にギリシアの兵士が入り込み、トロイアの市内に侵入。結果として、トロイアが滅ぼされたというものです。
この実話が、まさにこのマルウェアの名称に相応しいとされ「トロイの木馬」と呼ばれるようになったのです。この実話で出てくるトロイの木馬は、ほかにもカクテルの名称にもなっています。
トロイの木馬とウイルスの違い
とある戦争の実話が名前の元となっている「トロイの木馬」。先ほどの述べたように、一見有害なコンピューターウイルスに見えますよね。マルウェアとウイルスの違いがよく分からない!という方も多いでしょう。
マルウェアとウイルスの具体的な違いとは一体どういうもなのでしょうか。この項目では、マルウェア(トロイの木馬)とウイルスの違いを詳しく解説。確認していきましょう。
自身が感染するための宿主となるファイルが必要ない
ウイルスは、そもそも「宿主」が居ないとウイルスとしての活動ができません。コンピューターのウイルスとは、人間が感染する病気のウイルスと同じように、感染するためのファイル(宿主)が必要になるのです。
そのため、ウイルスは感染するためのファイルやデータを通じて、ダウンロードなどでパソコンに進入してきます。
ウイルスと違い、トロイの木馬は単体のソフトウェアとして活動ができるため、感染ファイル(宿主)を必要としません。そういった所が厄介なポイントです。
自己複製しない
ウイルスは、コンピューターに入り込むとまさに人間の病原体(ウイルス)と同じように、他のコンピューターにも感染を広げていくということがあります。それに対し、トロイの木馬は基本的に自己複製をしません。
そのため、トロイの木馬がひとつのコンピューターに潜りこんだとしても、他のコンピューターにも感染するということは基本的にありません。
しかし、これはトロイの木馬の場合です。トロイの木馬以外のマルウェアには、こういった特性を持ち合わせるものも存在します。
トロイの木馬の感染経路
実話の中のトロイの木馬は、トロイアの兵士が「ただの木馬」だと信じたため結果的に滅ぼされるという結末になりました。マルウェアのトロイの木馬は、まさに実話と同じような手口でコンピューターに進入してきます。
実話と同じことにならないため、パソコンを扱う我々はトロイの木馬の「感染経路」をよく注意して見ていかなければなりません。
実話は普通に、市内にトロイの木馬が通されましたがコンピューターではどこから進入してくる可能性があるのでしょうか。確認していきましょう。
メール
トロイの木馬の感染経路のひとつとしてあげられるのが、「メール」です。メールは、仕事などではよく扱うアプリケーションのひとつかと思います。また、サイトの会員登録などの際にもメールを扱ったりします。
メールアドレスを使ってどこかのサイトに登録する機会があるという方は分かるかもしれませんが、どこかにメールアドレスを登録すると「迷惑メール」が来るようになったということがあります。そういった迷惑メールに要注意です。
迷惑メールの中に、トロイの木馬やその他ウイルスが紛れ込んでいるという可能性があります。怪しいメールの添付ファイルや、URLは決して開いてはいけません。メールを使う方はよく注意しましょう。
SNS
TwitterなどのSNSに気をつけましょう。SNSでトロイの木馬やウイルスをばら撒いているという有害アカウントが多く存在します。また、SNSでできる「診断系アプリ」など、SNSと連携して使うタイプのものも要注意です。
SNSで気付かぬうちにトロイの木馬を侵入させていたり、ウイルスに感染させたりしていたというケースも多くあります。まさに、実話のトロイの木馬と同じような手口です。
基本的に楽しいことが多いSNSですが、怪しいDMなどは基本的に無視しましょう。
Webサイト
閲覧するWebサイトに注意しましょう。セキュリティソフトの入っていないパソコンだと、そこにアクセスしただけで勝手にトロイの木馬が入り込んでしまったというケースも多く存在します。
特に、アダルト系など怪しいサイトには注意が必要です。信頼できるサイトだけ閲覧できるように、怪しいサイトはブロックするなどの、ブロック機能などを使うことが望ましいでしょう。
最近では、ブラウザそのものにもセキュリティ機能が備わっていたりします。
ファイル共有ソフト
ファイルの共有ソフトを使用している方も要注意です。著作権やウイルスの問題で、共有ソフト自体の数は減っていますが今でも多く存在しています。
ファイルの共有ソフトを通じてダウンロードしたものが、実はトロイの木馬であったというケースが非常に多いです。トロイの木馬であることもあれば、その他のウイルスである場合もあるでしょう。
ダウンロードしたファイルを実行しようとして開いたりすると、そのまま感染します。要注意です。
直接インストール
直接インストールとは、具体的にいうと「自分の身近にいる者が進入させた」というケースになります。悪意の有無は問わず、目を離したすきに身近にいるものが自分のパソコンにトロイの木馬のマルウェアをインストールさせたというケースも少なくはありません。
身近にいる者が攻撃者であったという、こちらも実話に似たような進入の仕方ですね。
トロイの木馬に感染するとどうなる?
ウイルスと同じように、さまざまな経路から感染してくる「トロイの木馬」ですが、トロイの木馬に感染するとどのような症状がでるのでしょうか?
トロイの木馬の症状とは、どのような害をコンピューターに与えるのか。具体的な症状を、それぞれ確認していきましょう。
感染症状
トロイの木馬による感染症状は、種類によっても異なりますが主に「勝手な操作がおこなわれる」といった症状になります。
勝手にコンピューター上でクリックなどの操作がおこなわれる、勝手にメールが送られている、勝手にウイルスに感染しているファイルをダウンロードしている…など、さまざまな症状があります。
症状は基本的に害となるものしかありません。場合によっては、スパムメールを送る側になっていて他人に迷惑をかけていたというケースもあります。
感染被害
上記の症状により、トロイの木馬に感染したことにより「知らないうちにスパムメールを送っていた」や、「気付いたら銀行の預金がなくなっていた」などの被害がでています。
パソコンに限らず、スマホにも感染することも多いです。パソコンやスマホに入っている大量の個人情報などが、トロイの木馬によって漏れていたということも。
トロイの木馬の勝手な操作で、ほかのウイルスにも感染してしまったという被害も少なくはありません。長い間トロイの木馬が潜伏していると、被害が大きくなってしまうことがほとんどです。
トロイの木馬の種類
さまざまな症状で、大きな被害を出すトロイの木馬。実は、このトロイの木馬には種類があるのです。種類によって、症状の違いなどもでてきます。
トロイの木馬の「亜種」が多く登場してきているのです。それぞれを確認していきましょう。
種類一覧
トロイの木馬の種類は以下のとおりです。表を確認しましょう。
型 | 説明 |
ダウンローダー型 | 他の有害なマルウェアをダウンロードして活性化する。 |
クリッカー型 | 自動でブラウザを起動したり、 ブラウザの管理設定を改変する。 |
バックドア型 | 遠隔操作を実行し、 内部の情報を流出させたりする。 |
パスワード窃盗型 | 保存されているパスワードや設定情報を 検索し、メールで外部に漏洩させてしまう。 |
プロキシ型 | ネットワーク設定を変更して、 IPアドレスを勝手に使ってしまう。 |
ドロッパー型 | 不正な情報をプログラムにドロップする。 |
迷彩型ゼウス | JPEG画像に偽装したタイプのマルウェア。 人力での発見は難しい。 |
種類は、以上のように7種類に分かれます。種類それぞれで、どういった活動(症状)をおこなうかも変わってくるのです。
特に危険といわれている種類は、「バックドア型」で、このトロイの木馬を用いたサイバー犯罪が多くおこなわれています。この種類のトロイの木馬に感染してしまった場合は、速やかに駆除しなければなりません。
トロイの木馬の感染の検出方法
トロイの木馬は、症状がでないと潜伏していることに気付けません。しかし、被害がでてしまってからは遅いです。そのためにも、症状がでる前にトロイの木馬を検出し、駆除する必要があります。
トロイの木馬やウイルスを検出するには、やはり「セキュリティソフト」が必須。この項目では、おすすめのセキュリティ・ウイルススキャンツールを紹介していきます。
トロイの木馬やウイルスの一番の対策法はセキュリティソフトなので、パソコンを扱う方は絶対に入れておきましょう。
セキュリティソフト
まず紹介するのは、パソコンに絶対に入れておきたい「セキュリティソフト」です。セキュリティソフトの多くは、ウイルス対策として事前にトロイの木馬やウイルスをブロックしてくれる機能を持っています。
中には、ウイルスに感染していないかなどのスキャン機能を兼ね備えているものも多いです。ウイルスを検出するには、このスキャン機能を使います。
Web上にはトロイの木馬を含めさまざまなウイルスが存在するので、パソコンを購入したらすぐにセキュリティソフトは導入した方がいいでしょう。
Windows Defender
まずはじめに紹介するのは、「Windows Defender」。その名の通り、Windows用のマルウェア対策ソフトになります。マルウェアからパソコンを保護してくれるもので、Windowsパソコンであれば無料で導入できます。
Windows8以降で使えるもので、Windows7にはまた別のマルウェア対策があります。Windows8以降の方は、無料なので導入しておきましょう。
Windows Defenderはバックグラウンドで動作しており、裏でパソコンの保護をおこなっています。ユーザーによる動作が必要な場合には、通知を表示させてくれます。
しかし、裏で動作しているとはいえどこから入り込んでくるか分からないのがトロイの木馬やウイルス。もし怪しいURLリンクなどを開いてしまったという場合は、ただちWindows Defenderでスキャンをおこないましょう。
トロイの木馬などの悪意あるマルウェアを検出してくれます。公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
Avast
「Avast」は、ウイルス対策のセキュリティソフトの中でも非常に有名で、信頼のあるソフトです。導入しているという方も多くいると思います。基本的無料で使用できますが、有料版を導入するとさらにセキュリティが強化されます。
Avastを導入しているユーザーは4億人にものぼるといわれており、セキュリティソフトとしての信頼は非常に高いです。
Avastの起動画面は非常にシンプルで、トロイの木馬やウイルスを検出するためのスキャン機能など、直感的にどのように操作すればいいのかがわかります。
ブロック機能、検出機能それぞれ優秀。無料版だけでも、さまざまな脅威からパソコンを守ってくれるでしょう。
公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
オンラインスキャンツール
次に紹介するのは「オンラインスキャンツール」です。オンラインスキャンツールは、パソコンやファイルをスキャンすることでトロイの木馬やウイルスを検出します。
あくまで脅威を「検出」するためのもので、ウイルス対策のソフトではありません。その点を注意して、マルウェアやウイルスを検出したいという定期的なチェックに使用しましょう。
Microsoft Sefety Scanner
Microsoft Sefety Scannerは、無料でダウンロードすることができるツールですスキャンをし、トロイの木馬やその他のウイルスを検出したらそれを駆除することができます。
インストール不要のツールなので、手軽に導入ができるでしょう。
使い方もシンプルです。パソコンに強くない方でも、使いやすいツールでしょう。しかし、ダウンロードしてから「10日間」しか利用ができないという注意点があります。
10日経った後、再度パソコンをスキャンしたいという状況になったら再度ダウンロードしなければなりません。
度々使用するのに、ダウンロードが必要になるのでこの手間を面倒に思わない方は使用してみてください。公式サイトは以下のリンクから移動することができます。
ノートンセキュリティスキャン
ノートンセキュリティスキャンは、ほかの製品との共存が可能といわれているWindows専用のスキャンツールです。無料でインストールが可能で、検出(スキャン)する際も分かりやすい操作感で使いやすいでしょう。
また、有料版もリリースされており、日本でも売り上げはトップにのぼるほど。
ノートンセキュリティスキャンの魅力は、分かりやすさと「快適さ」です。一度信頼した問題のないファイルはスキャンしないため、通常のスキャンツールより検出までの時間が速いそうです。
ストレスなく使用できるスキャンツールといわれています。売り上げトップクラスで信頼が高いので、安心して使えるでしょう。
公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
トレンドマイクロオンラインスキャン
トレンドマイクロオンラインスキャンも、無料でダウンロードが可能なスキャンツールです。インストール不要のツールなため、手軽に導入することが可能でしょう。
スキャン画面は上記の画像のとおりです。非常に分かりやすい画面で、パソコン初心者の方でも感覚的に操作することが可能でしょう。公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
カスペルスキーセキュリティスキャン
カスペルスキーセキュリティスキャンは、無料だとウイルススキャンの機能しか使えないのですが、有料版にすることでウイルス対策のソフトとして扱うことが可能です。
スキャンは手動でおこなうこともできれば、「定期的にスキャンを実行する」にチェックをつけることで自動的なスキャンをおこなうことも可能です。
使用感が気に入った方は、有料版を導入してセキュリティ面やプライバシー面の保護もおこなうといいでしょう。
公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
Yahoo!スマホセキュリティ
Yahoo!スマホセキュリティは、スマホ向けのスキャンアプリです。スマホは、パソコンに比べるとトロイの木馬やウイルスに感染することは少ないです。
しかし、感染することももちろんあります。そのため、こういったスキャンツールで定期的にチェックをおこなうのがおすすめです。
ワンタッチでスキャンを開始することができ、ほかにも悪質なサイトからスマホを守るなどの機能も備わっています。
また、電話帳などの「個人情報」が関係するアプリへのアクセス状況が一目でわかります。プライバシー保護などの対策にもうってつけのアプリです。
公式サイト(下記リンク)から導入が可能です。
VirusTotal
VirusTotalは、ダウンロードもインストールも必要ない、「ブラウザ上でスキャンができる」というソフトです。パソコン字体をスキャンするわけではなく、ファイルなどの個別データをアップロードし、スキャンするといったものです。
また、ファイルだけでなく怪しいメールに貼られているリンクなども貼り付けることで、ウイルスなどの脅威がないかを確認することができます。
手軽に扱うことができるツールなので、試しにファイルをスキャンかけてみたいといった時にはうってつけです。下記リンクからスキャンをすることができます。
トロイの木馬の駆除方法と感染を防ぐ対策
トロイの木馬は、上記の方法で検出することができます。では、駆除したい時にはどうすればいいのでしょうか?また、感染を防ぐことはできるのでしょうか?
続いては、トロイの木馬の駆除方法、また感染対策を紹介していきたいと思います。
駆除方法
トロイの木馬を駆除方法は、2パターンあります。
ひとつめは、ウイルス対策ソフトで駆除すること。これ一番手っ取り早い方法です。駆除機能を持っているウイルス対策ソフトを使用して、検出されたら指示にしたがって駆除をおこないましょう。
ふたつめは、リカバリー・インストールです。ウイルスの中には、ソフトを使用しても駆除できないものも存在します。その場合は、パソコンをリカバリー・再インストールをおこなってください。初期化は一番確実な手です。
スマホの場合は?
スマホの場合も、基本的にはパソコンと駆除方法は一緒です。ウイルス対策アプリで駆除をこころみるか、スマホを初期化してください。
スマホにも、沢山のウイルス対策で使えるセキュリティアプリが存在しますよ。
感染を防ぐ対策
感染を防ぐ対策とは、ずばり駆除方法と一緒で「ウイルス対策ソフト」を使用することです。セキュリティソフトを導入することで、トロイの木馬やウイルスに感染する確率はぐっと下がります。
また、パソコンに導入しているソフトウェアの類(OS・Java・Flashなど)は常に「最新」のものを使うようにしておきましょう。そうすることでも、ウイルスの対策になります。
ツールに頼るだけでなく普段からSNSやメールの使用など、自分自身でも注意することが大切です。
トロイの木馬とはどのようなものなのか、また感染対策や駆除方法などはわかりましたか?
トロイの木馬をふくめ、ほかにもさまざまなマルウェアやウイルスがインターネット上には存在します。それらに感染しないためには、まず自分自身で注意することと対策を練っておくのが重要。
パソコンを購入する方は、まず「セキュリティ」ソフトを導入してパソコンを脅威から守りましょう!